浦安中央図書館連続講座 

 昨日1月10日は養老孟司の担当です。いざ図書館にたどり着くと、入り口付近で「キャンセル待ち」の人たちが列をなしていました。いやあ、なんか悪いなあと思いながら会場に入ります。100人ほどしか入れない結構きれいめの会場。窓からは燦々と陽光が差し込み、和やかな雰囲気の中、開演を待ちます。半数が「壮年」と呼ばれる人たちで占められてました。男女比は半々でしたね。若い子もちらほらいましたけれど(お母さんと一緒のようです)。
 午後2時。来ました。時間通り。養老先生の登場です。黒のタートルに灰色のブレザーを羽織ってます。髪はいつもの七三分け。前に雑誌で見た時に「痩せたかな」と思ったけれど、実際はそんなことなかったです。といっても別にガツガツしているわけでなく、芯の強そうな、おとなしめのおじさんといった感じ。
「さて、何を話そうか決めずに来てしまったのですが・・・」
 始まりました。で、上のセリフに象徴されるように、(いちおうテーマは「死と誕生、虚と実――日本文化」と掲げられていたにも拘らず)脈絡、なかったすねー。多岐にわたる、というか。大盤振る舞い、というか。単にぼくが内容をまとめきれないだけなのかもしれないけれど。
「他人が理解できない考えに価値はない」。「日本の抽象語は仏教から取られた」。「社会と個人の心理の区別はつかない」。「宗教とはイデオロギーである」等々。
 身ぶり手ぶりは豊か。まるで俳優みたいです。「ガハハハ」という笑い声さえ、場を和ませる効果の一つではないかと思えるほど。すっかり魅了されましたね。安心して見ていられると言うか。質疑応答の時も、観客からの質問に(「最近の子供は顎が小さくなっていますが、脳の大きさと関係はあるのでしょうか?」とか)、言葉巧みに、ほんと、当意即妙って感じに答えています。引き出しが豊富。正直、ちょっと「だまされてる?」なんて思ったりもしたけれど(上の質問には「動物は家畜化すると概して顔が丸くなる」「実験用のマウスがケージから逃げると一週間で野生化する、決して捕まえることは出来ない」なんて例を上げていた)、でも、エンターテイメントとして面白いですよ、やはり。人気があるのわかります。行って良かったなあ。また見たいです。
 ちなみに、養老先生、昨年北里大学退職してたんですね。今回はじめて知りました。だからじゃないかな、昨年の大ヒットの連発は。余計なことにエネルギーを遣わなかったから・・・なんて浅薄なことを考えたりして。