2007-01-01から1年間の記事一覧

『仏果を得ず』読了

なるほど。これが三浦しをんの世界か。という初心者的な感想というよりむしろ「おお、何かに精進している青春(つーても30代)というのは触れる者をも爽やかな心持ちにさせるねえ」というこの書に対する純粋な感想が湧き起こるくらいなのだからやっぱり三浦…

2007年私的ベスト本

まあやっぱり2007年度版のナンバーワンは堀忠雄著『快適睡眠のすすめ』(岩波新書)ということに落ち着きますね。実利的な影響からして。2000年の本でしかも今回は再読なんですが。いやほんとこの本を精読した前と後とでは人生の色合いがまるで異なる――と言…

三浦しをん『双調平家物語』評

http://www.yomiuri.co.jp/book/review/20071217bk02.htm なんだか意表を突いた組み合わせだなあ。と、最初は、三浦しをん氏についてよく知らないだけに、そんなことを思ったりもしたわけです。三浦氏と橋本治氏の間に、いかなるつながりもないだろうしなー…

『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』読了

正直、冒頭で「読んだよ」と掲げるにはなかなかに羞恥心をかき立てられるタイトルではあります。鴻上尚史著。2003年刊。講談社文庫版。声と体と言葉と感情(順不同)についての具体的なアドバイスに充ち充ちた1冊——羞恥心云々、というようなハードルをこち…

『ニュースの読み方使い方』読了

良心の権化ともいうべき池上彰氏の文体で「もしこの本を買うことがあなたにとって単ある浪費になったのだとしたらたいへん申し訳なく思う」といったことを(実際の文ははるかにシンプル)いわれたら何だかいわれたこっちの方が「へへへー」とひれ伏したくな…

『スタバではグランデを買え!』読了

このタイトルおよび緑と白との装丁もいわゆる「付加価値」の一種なんですよね? 確かに、目を引くし、それだけ売れているということは、「価格差別」の件とも合致する(?)……という風に、ビジネス書になんて、ふだんまったく縁遠かった自分のような人間さえ…

新潮ムック『海外作家の仕事場1998』

いつか読もういつか読もうと思っていながら結局ぱらぱらとめくっているのみでとうとう9年も経ってしまった……。いかんですね。というわけで、一発奮起して通読。「新潮クレスト・ブックス特別編集」と銘打たれているから、もちろん載っているのもそこで書か…

『ほかに踊りを知らない。』読了

川上弘美氏の『東京日記』第2弾。門馬則雄氏のキュートなドローイングも健在。なごみまくりのいい湯かげん。これから読む人のために、えーと、ぼくはうっかり見過ごしていたのですが、きちんと各項の「天候」にまでチェックを入れておいた方がいいですよ。…

『イエスの生涯』読了

ユダとか最後の晩餐とか言葉だけは知っていてもその表すものが具体的にどうなっているのかまではさすがに知り得てなかったので、10月の堺雅人氏の推薦文にも惹かれ(→●)購入。新潮文庫版。遠藤周作氏の本を手に取るなんて、高校の感想文のとき以来っすよ。…

『双調平家物語』読了

まずは、「パチパチパチ」と醒井凉子さん張りに著者の橋本治氏の労をねぎらいたい気持ちでいっぱいです。全15巻。ご苦労様でございました。第1巻の奥付を見ると、初版が1998年10月となっているから、足掛け10年の作だったのですね。中央公論社前会長・嶋中鵬…

先週の嬉しい誤解

http://www.yomiuri.co.jp/book/news/20071023bk04.htm 読売新聞10月23日朝刊。キャプションに「セミにたとえられることもありますが…」と書かれています。もしかすると、松浦理英子氏は、2週間前にぼくが書いた文章(→●)を読んでくださったのでしょうか?

岩波新書『快適睡眠のすすめ』読了

16日放送の「クローズアップ現代」はおもしろかったですね。タイトル「今夜も眠れない 〜広がる女性の睡眠不安〜」。って、また気軽におもしろいって言葉はつかわない方がいいのだろうけれど、実際に番組を見ながら、へぇー、へぇーと感心しっぱなしだったの…

『犬身』読了

ある種のセミって素数年ごとに地上に顔を出すって言うじゃないすか? 17年ゼミとか。てなことを、ここんところきちんと7年ごとに小説を発表する松浦理英子氏を見ていて思ったりもするわけです。そうそう、『裏ヴァージョン』から7年目。来るか、来るか、来…

『佐藤可士和の超整理術』読了

面白かった。面白かったのだけれど、この本を読んだのに、「整理」されていないぐだぐだな文章を書いたら、なんかどこかから真剣なクレームが飛んできそうな気もする……。2007年9月刊。自分が書店で見た限り、これは誇張でもなんでもなく、マンガの新刊なみに…

岩波新書『ディズニーランドという聖地』読了

1990年7月刊。なんだ。フルシチョフがディズニーランドに行けなくて怒髪天を衝いたというのは有名なエピソードだったんすね。はずかしい。知りませんでした。というか、そうしたエピソードにいちいち反応してしまうというのも、もしかすると、世紀を超えて、…

蛇足3点

ディズニーランドお披露目時のリポーターには、若き日のロナルド・レーガンがいたそうな。ちょっと笑った。あと、フルシチョフが、警部上の理由でディズニーランドに入れなかったことに、それこそ、怒髪天を衝いて、「俺があそこで自殺でもするっつーのかよ…

『創造の狂気 ウォルト・ディズニー』読了

そういえば、学生時代、半年間TDLでバイトをしていたことがあるくらいに、決してアンチディズニー派ではないにもかかわらず、これまで、さほどその創始者に興味は抱いたことがありませんでした。これもいわゆる、ディズニー社による情報統制による賜物? …

それにしても江戸時代の年号に対するコンセンサスがないので

上の本を読みつつ、「享保」だとか、「安政」だとか、「延宝」だとか、どちらが先で、どちらが後なのか、そうした全体の中での位置関係がまるでわからなくて困ってしまいます。せめて、時間軸に沿って書かれていれば、そこらへんの理解が疎外されることはな…

講談社現代新書『江戸の性風俗』読み中

えーと、川端康成の『眠れる美女』という作品には、直接の性交渉は出て来ないんですか?ただの添い寝のみ?おお、そりゃ、吉本(旧)ばななの『白河夜船』に通ずる世界じゃないか。とにわかに興味が湧いてきました。今度買ってこようっと。 ところで、『白河…

最近よくインド人に道を訊かれる

よく、といっても、2回だけなのだけれど。 1回目は夜8時半頃、自転車に乗った30代半ばの男性に、郵便局の場所を。 2回目は夜7時頃、子供を連れた40歳前後の女性に、病院の場所を。 なぜだろう?日々坐禅にいそしんでいるからか?(関係ない。) 知人にこの話…

太陽と水風呂

朝、目を覚ますために、日光を浴びるのがいいという記載はよく目にしますが、どうせなら、水風呂に入った方が確実に目は覚めるだろうにな、とは思ってしまいます。同時に、まさか、そうした水風呂的な記載が世に出る可能性もまたないのだろうな、ということ…

岩波新書『アジア・太平洋戦争』読了

どうせ後から振り返れば、この時代は狂気そのものに見えるんだろうな。だけれども、きちんと、そうなるべく必然があったことはあったんだ。 というようことを、山田風太郎の『戦中派不戦日記』に書いてあったのを思い出しました。どこだったかな、と今ページ…

耳栓は洗ってはいけないんだそうな

ええ。毎晩利用してます。なので、1ヶ月ごとに交換はしてます。けれども、とくにこの時期は、何ともいえない、こうばしいにおいを発するようになるのだね。 「そろそろ水で洗えるタイプの登場を請う!」といった声があちこちからあがってきてもいいような気…

岩波新書『アメリカ黒人の歴史』読了

新書づいてます。もちろん「キング・マルコム」関連で手に取った次第です。私事だけれど、この本を読み終え、ひさかたぶりに、「奥付に読み終えた日付を記す」という行為をしてみました。また十年ほど経ったら、読み返してみようかと。

講談社現代新書『キング牧師とマルコムX』読了

キング牧師のスキャンダラスな面も照射されているよ。と、おどろいてもいいのだけれど(実際、おもしろく読めたのは事実)、ちょっとぐらい、性的な面で羽目を外してもいいんじゃないかな?駄目?家に、爆弾投げ込まれたりしてるんだから……とは思ってしまい…

岩波新書『アジア・太平洋戦争』読み中

んー、ボルテージあがりまくりっす。あの戦での死者がいつどこでどのようにして死に至ったについての詳しい記載を、そういえば今までぼくは触れ得ていなかったのでした。ページをめくる指が、止まらない止まらない。(ちなみに、ぼくのあの戦での基礎知識は…

ちょっとタイトルを変えてみました

真面目な人から「じゃあリニアじゃないボイスってのはあるんですか?」と問い詰められるかもしれないけれど、ほら、ここでのボイスはあくまで活字上のものなので……。(低姿勢。)と言いつつ、またなにげにえへへへへへと頭のうしろを掻きながらいつの間にか…

そういえば2007年の夏も終わる

どうやら橋本治の『双調平家物語』の最終巻に出会えるのはまだ先のような感じですね。まあいいや。

頭の中でワン・センテンス

ちょっと長いけど、丸谷才一『思考のレッスン』に載っていた「書き方のコツ」を抜粋。 「ものを書くときには、頭の中でセンテンスの最初から最後のマルのところまでつくれ。つくり終ってから、それを一気に書け。それから次のセンテンスにかかれ。それを続け…

黒い燃えかすの灰のような

金井美恵子がここのところ仕事を休んでいたのは、網膜剥離が原因だったようで(「一冊の本」9月号より)。5月に発症して、まだ本調子ではないというくらいだから、そうとうつらかったんだろうなあ。ただ、いまは順調に快方に向かっているとのこと。ひとま…