『イエスの生涯』読了

 ユダとか最後の晩餐とか言葉だけは知っていてもその表すものが具体的にどうなっているのかまではさすがに知り得てなかったので、10月の堺雅人氏の推薦文にも惹かれ(→)購入。新潮文庫版。遠藤周作氏の本を手に取るなんて、高校の感想文のとき以来っすよ。で、結論からいうと、たいへんおもしろかったです。おかげさまで、ユダだの最後の晩餐だのの意味がどういう文脈において用いられているのかがよくわかりました。前に一度、聖書というものに触れたくて、岩波文庫版の新約聖書に手を出したことがあるのだけれど、どのように付き合っていいのかがわからなくてね……。この本では、そうした心配は無用。いや、ほんとうにおもしろかったです。一気に読めた。そして、ここで出てくるのが、今までは固有名詞として捉え切れなかった「イエス」という名がひとりの人間のそれとして目前に迫ってくるかのように思えました、というような定番の感想なのだろうけれど、まあ実際にそう思ってしまったのだから仕方ないですよね。そのように思えましたと、正直に告白しておきます。他人と笑いさんざめく面もあったのだと知り——もしかするとこれは遠藤氏独自の解釈なのかもしれないけれど——ちょっと救われた気持ちにもなる。