2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『M&D』読了

最後の方で喋る犬が(「一応」という但し書きつきで)再び登場と相成ったのは慶賀に堪えない…ということに個人的にはなるのけれども、あともうひとつ、「退屈でない」と「面白くない」という形容は、必ずしも同じ意味ではない——つまりは並列可能——ということ…

スイカと牛乳

原寸大の精巧なクラゲのレプリカを冷蔵庫に入れ、十分冷えた数匹を、身体に抱き寄せて眠りたい、という妄想にもこの激しい暑さのなか駆られたりもするのだが、そうすると、今度はあの有名な葛飾北斎のタコの絵を想起させられることになり、なかなか困ること…

『M&D』読み中

『メイスン&ディクスン』を読んでいる(また「スン」を「ソン」と打ち間違えていた)。面白いのか? よくわからない。退屈なのか? それは、ぜんぜん違う。奇妙なのか? 抜群に、その通り(喋る犬はこの後も登場してくるのだろうか?)。 ーーーーー それに…

日本の漢字

評判通り、高島俊男『漢字と日本人』もおもしろかったのだけれど、いまのわたしの渇を癒したのは、むしろ笹原宏之『日本の漢字』の方だった(→●)。この本で、どれだけ日本人が創意工夫をして——たとえ現在まで流通していなくとも——数多くの漢字を作り上げて…

一人三役

『ばるぼら』内の美倉志賀子は、夫が精神病院に入院した後、いったいどこに「勤め」はじめたのだろう。作品内では、その「勤め」先は明言されていない。病院で夫に尋ねられても「いいじゃないどこだって」とはぐらかしている。 実のところ、彼女は、手塚治虫…

托卵

屋名池誠著『横書き登場』(岩波新書)を読んでいる。新書、という性格を考えれば特に不思議はないのかもしれないけれど、内容とは関係なく、この本の中に、「僕」や「俺」や「私」といった一人称がまるで出てこないことに、現在戸惑っている最中だ。 日本語…

整理

家族のひとりに異変が生じ、こちらの身辺もあちこち整理しなければならなくなる。鏡で顔色を確認してみたら、くちびるの色が失せていた。乗り物酔いのときのようである。

乳首

この時期に、シャツ1枚で(したに下着をつけないで)町内を闊歩している男性たちの胸からは、とうぜんのように、汗でシャツが透けて、乳首の位置が容易に察せられるようになっている。 確か、岸本佐知子のいた会社では、「男性の乳首の場所当てクイズ」(ワ…

悪魔的

前にも書いたことがあるのだけれど、わたしが生まれてはじめて自分のお金を出して買った小説は、筒井康隆の『俗物図鑑』だ。当時新潮文庫から出ている筒井康隆の本の中で、一番ぶ厚く、子供心に「金を出した分のもとは取れるだろう」と踏んで、近所の小さな…