2006-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「海に落とした名前」読了

多和田葉子の最新短編集。全て雑誌「新潮」掲載。だから、なのかどうか、ぼくには前作「アメリカ 非道の大陸」より文章の密度が濃いように感じられたよ。表題作は、事故で記憶をなくした女性が、病院で出会った医師の甥や姪と共に記憶を手繰り寄せていこうと…

「ドレミファ娘の血は騒ぐ」

そっか、これはじめはポルノ映画として制作されてたんだ。つーか、見終わってもそれなんかいまいち身に染みてこなかったりして……。黒沢清の1985年公開映画。ネットで見ると文字通り賛否両論てかんじだねえ。ぼくは、あまりのその意味のなさに笑ってしまった…

新刊「海」のサイン会らしい

ぱらっと丸善ちかくを歩いてたら、おっとっと、今日は小川洋子が来てるんだ。といっても、時間の都合がつかず本人を目にすることはなかった。行列しているファン層を眺めると、男女比6対4くらいで、ほぼ全員オーヴァーフォーティー。まあ場所が場所だから…

「苺とチョコレート」

うわーこれはせつないなー。1993年のキューバ映画ってことで、ゲイ映画の至宝とも評されてるらしいけれど、なんかこれって主人公のディエゴくんがあまりに哀れ過ぎない? みんな彼のこと立派って言ってるけど――まあそりゃ立派は立派なんだけれど――仕事を奪わ…

ポイズンガールバンド

古田新太のラジオで、「今現在気になっているお笑い芸人は誰ですか?」との問いに、ケラリーノ・サンドロヴィッチが、「ポイズンガールバンド」と答えていたので、ちょこちょこと彼らの姿をユーチューブで見ている。「ポイズンは乗っけ系(?)じゃないから…

カレンダー物色

有楽町流れで、伊東屋に行き、来年のカレンダーをちらちらと物色。入り口に貼ってある、旅のイラストのカレンダーがきれいだったので確かめてみたところ、上で止められていず、1枚1枚がばらばらだった。悩んだ末、買わず。(このページの下にある、「LONDO…

フィルター交換 

有楽町ビックカメラの地下1階で空気洗浄機のフィルターを購入。前に、春先に見た時と異なり、現在、地下1階のメインは加湿器に取って代わられていた。ふーむ。空気洗浄機、今買う人はいないのか……。

「新しい人よ目ざめよ」再読

前に「新しい人よ目ざめよ」を読んだときには、その三島糾弾にかなり意識を囚われていたのだけれど、今回読み直してみて、別にそんなに糾弾といった声高な主張は見られず、逆に、ユーモラスといった風情で三島のことが描かれているように思えた。まあ作中で…

「見知らぬ乗客」

同じパトリシア・ハイスミスの原作でも、「太陽がいっぱい」と「リプリー」とではだいぶんおもむきがちがうみたいだ。ぼくが見たのはマット・デイモン主演の「リプリー」の方で、アラン・ドロン主演の「太陽がいっぱい」はそのメロウなテーマ曲しか知らない…

「汚名」

ケーリー・グラントの性的指向には興味はない。ないんだけれど、うーん、ここでの彼は、あんまりイングリッド・バーグマンを愛しているように見えないんだよなー。あれじゃあ、まるで、イングリッド・バーグマンが殺されていくのを文字通り見殺しにしている…

こども扱い

墓参りの帰り、昼食を摂ろうと、高島屋の地下でぼーっと並んでいたら、係の中年男性が来て、「ボク、もうちょっと詰めてくれるかな?」と腕をつかまれ前の方に誘導されてしまった。30過ぎの人間を捕まえて「ボク」もなにもないと思うが、もしかすると、近く…

こども返り

藤子・F・不二雄の「やすらぎの館」にせよ、クレヨンしんちゃんの「オトナ帝国」にせよ、大の男がこども返りするのに必須なのは、演技をする女なんじゃないかなー、とぼんやりと思ったり。まあ別に「オトナ帝国」での演技をする女、つまり、スカートをめくら…

現代史知識不足

昔、西原理恵子が「今あたしに山口二矢の霊が憑依した」と叫んでエキサイトしていた記憶しているのだけれど(もちろんギャグで)、山口二矢の事件って、西原理恵子が生まれる4年も前の出来事だったんだね。今日はじめて知ったよ。てっきり、彼女が同時代の…

比較文化:鳥肌

西日本では鳥肌のことをさぶいぼと言うとか。ほんとうだろうか? 知人の高知の男性は、結婚相手に、「さぶいぼが立った」と報告したら、怪訝な顔をされ、「何それ? 気持ち悪い」と言い放たれたらしい。よく別れなかったものだ。「それじゃあ関東では何と言…

「鳥」

――別に洒落るつもりはないのだが、このヒッチコック1963年の不朽の名作を見て、ぼくは、文字通り、全身鳥肌が立った。純粋な恐怖で鳥肌が立つというのは久しぶりだったから、かなり新鮮だったね。特に、ヒロインの背後で、つぎつぎとカラスがジャングルジム…

いきなり父親に「劇団ひとり」のことを聞かれたのだが

なにやら、父親同士が知り合いという間柄らしい。ふーん。昔、夫婦で家までやって来たこともあるとか。その時に連れられて来たのは、省吾氏ではなくお兄さんだったとのことだけれど。 「じゃあ、お兄ちゃん(ぼくのこと)の年代の人たちには大人気なんだ?」…

「救命艇」

ヒッチコック1943年の作。原案はジョン・スタインベック、ということらしいけれど、ヒッチコックは彼の脚本が気にいらなかったみたい。他の人に頼んで、それさえもなかなかの渋めの出来だったようだ。大戦中、ドイツ軍により破壊された商船の乗客たちが乗り…

「最後の息子」初版本

吉田修一「最後の息子」、これ、単行本の初版を持ってるよ。白人がブロック塀を乗り越えてる写真のやつ。平成11年刊だから、えーと、7年前の本か。割にこれは出版前から出るのを待ってたんだよなー。まだ海のものとも山のものともつかない新人作家の本を買…

ラジオの吉田修一

散髪中、ラジオに突然吉田修一が登場したので割に驚いた。J-WAVEの「LOHAS TALK」。へー。こういうメディアにも出るんだ。映画の宣伝かなー、と思っていたら(今日は言っていなかったけれど)やっぱりそうらしい。 http://www.j-wave.co.jp/blog/lohastalk/ …

青春の終わり

2001年9月7日、図書新聞掲載。つまり、5年前の文章だね。書き手は詩人の田口犬男。 当時は、この文章に、ものすごくシンパシー、というか、ある種の救いを見出してたんだ。書かれた内容はもちろん、これが、自分ではなく他人の手で書かれたということに対し…

「海カフ」かあ……

週刊新潮で、福田和也が川上弘美の「真鶴」を、「海辺のカフカ」への応答なのでは? と書いている。「海カフ」かあ……。でもぼくは、すこしもそっち関係の連想ははたらかなかったね。むしろ、前にも書いたとおり、激しく「砂の女」を連想してしまったのだけれ…

多和田葉子に朗読してもらうんだったらこの文がいいな

ざんねんながら、日本で多和田葉子が朗読業を営んでいるのか否かはわからないのだけれど(「業」なのか?)、営んでいると仮定して、新刊「アメリカ 非道の大陸」の中でどこを朗読してもらったら嬉しいだろうとかんがえると、ぼくとしては、以下の文章になる…

「めまい」

ファンの人にはたまらないというキム・ノヴァクの野性的な魅力が、どうもぼくにはピンとこなくて。ミス・ノヴァク、やたらと顔がこわばってるんだもんなー。それを野性的と取るか都会的と取るかはたぶん見る人にかかっているのだろうけれど、その顔に加え、…

女優/男優

いまだに「男優」ってそっち関係のことばとしてとらわれ勝ちなのかな? 高校の頃、一度それで痛い目にあったことがあるんだ。(ちなみに男子校。)へんに敏感になってしまう。こっちとしては、なんの含みもなく「男優」と口にしただけなんだがなー。

「疑惑の影」

毎日が退屈でやってられないなーと思っているところに長らく帰ってこなかった伯父が家にやって来て生活がバラ色になったのもつかの間実は彼は殺人犯なのではという疑惑が湧き起こりさてどうしようと悩む映画。こうして、誰にも助けて貰えないものの「でも、…

敬虔さ

テレビで見るのと、実物を見るのとでは、またずいぶんとおもむきが違ってたなー。「新日曜美術館」での円空仏。もちろん、実物の方がはるかに敬虔さに満ちていた――と言いたいところだけれど、正直なところ、敬虔さにおいては、テレビで見たときの方が勝って…

「「伝える言葉」プラス」読了

自発的、という言葉を目にしても、特に感興が湧き起こったりはしない。どころか、なんだろう? 何か輪の中に取り込もうとしてるのか? などと、おかしな自衛心が働いてしまったりする。自己啓発商品の類は、これはもう生理的に苦手だし。まあ、自発的、とい…

クウネルトークショーは好評だったみたいだ

丸善本店売り上げフィクション部門、川上弘美「ざらざら」が1位。よかったねー。先月末の江國香織とのトークイベントが功を奏したか? ちらちらその場の様子をあちこちで拝読してると、けっこうよさげな雰囲気だったみたいで。クウネルに載ってるお弁当がど…

後悔っていうなら

川上弘美の「溺レる」に、「後悔っていうなら、ほとんどいつも後悔」というフレーズが出てくる。ぼくは、てっきりこれを、太宰治の「斜陽」で読んだとずっと勘ちがいしてたんだ。「斜陽」の女主人公が、書きそうではあると思う。手紙の中で。<生まれて来て…

「バルカン超特急」

列車の中で仲良くしていたお婆さんが突然消え、「ねえどこ行ったの?」と訊いても、みな「いなかったじゃないですかそんな人、しっかりしてよ」てな具合にぜんぜん取り合ってくれなくて、さてどうしよう、と悩む映画。ぼくは、見ている映画があまりにおもし…