「最後の息子」初版本

 吉田修一最後の息子」、これ、単行本の初版を持ってるよ。白人がブロック塀を乗り越えてる写真のやつ。平成11年刊だから、えーと、7年前の本か。割にこれは出版前から出るのを待ってたんだよなー。まだ海のものとも山のものともつかない新人作家の本を買うなんて、そのときまでしたことはなかったのに。つまり、そこには、はっきりと、「応援するよ!」という一票にも似た気持ちが込められていたんだ。
 今では、もうすっかり立派になっちゃって。応援したかいがあったというもの。何より、人柄がよかったんだろうな。って、会ったことないから知らないけど。ただ、読んで、後味の悪い作品てのは(ぼくが触れた限りでは)1個もないもんね。願わくば、男女の微妙な恋愛模様だけでなく、この表題作のような――「へんだと思ってないんですよね」とラジオで言っていた――世界等も垣間見てみたいなーという気持ちはあるけれど、まあそれこそ流れが来なくちゃできない仕様ではあるか。
 参考までに。帯に寄せられた浅田彰山田詠美の文章を抜粋。

 ナイーブでいてクール、狡猾でいて爽やか――そう、これは現代の「青春」そのものだ。(浅田)

 とてもキュートだと思いました。人の見くびり方に品がある感じ。この小説を好きな人は多いはず。(山田)

 特大プッシュではあるよね。