2008-12-01から1ヶ月間の記事一覧

フェイント

センター試験に江國香織著「デューク」が全文掲載され、あちこちですすり泣く生徒が続出。という話をこの前の「メロディアス ライブラリー」で聞いて、その話じたいもたいへんおもしろかったのだけれど、個人的にはそれよりも、「最後の最後まで『デューク』…

『骨盤にきく』読了

きくは「効く」よりむしろ「聴く」寄り。というわけで、けっこうこちらの好みに合致。特に第3章「本物の集中力は骨盤から生まれる」のパーツ。 本当の集中というものが、ただ頭が興奮しているような状態ではなく、自分が心から好きなことに向かったときの静…

『よく嚙んで食べる』読了

初期のドラえもんがあまりに美味そうに餅を食べるのを見て勝手に想像力を逞しくし実際の餅を口にした途端に味わった幻滅ももしかすると作用しているのかもしれないけれど、正直、今まで周囲で立ち上がっていた「お餅が美味しい」という味覚感覚の表明にいま…

20代のトミーはきちんと太っていて欲しいな

世にどのような俳優が存在しているのかの知識についてはとんと不如意なもので、だから、できあがった映画を見て、へえ、こういう「手」で攻めてきたのか——と感嘆する日を想像をするのが楽しみな小説の映画化の報が最近続きます。『風が強く吹いている』(三…

『歯はいのち!』読了

咀嚼というものに興味が生じての購入。『ウンココロ』と同じく、装丁のイラストが寄藤文平氏なので、ふたつ書棚に並べておくと調和が取れていいですね。そもそも、咀嚼に興味が生じたというのも、この『ウンココロ』に依るところ大だったわけだし。 唐突です…

『どこから行っても遠い町』読了

現時点における川上弘美の最新作。2008年。新潮社刊。あれですよ。この本における<捨てたものではなかったです、あたしの人生>というコピーを帯や広告で見かけたひとは、きっと、読了後にこのコピーの色合いをまるで違うものとして感受することになるはず…

刷り込み

小泉毅という男が犬に異様なまでのこだわりを見せるのは、自身の名の由来となった「犬養毅」の「犬養」という名字に幼い頃から強くアイデンティファイしていたからだ――などと、某書に出て来た「犬養毅」という字面を見ながらつらつらと思う。小学6年男子とい…

公的抑圧

二重に古い話ということになるのだろうけれど、ナンシー関が車の運転中に気持ちよく歌っていたというYMOの「ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー」ってどんな曲なんだ? と、ふと好奇心に衝き動かされ図書館で借りて聴いてみたところ(「公的抑圧」ヴァージ…