2005-11-01から1ヶ月間の記事一覧

道化師の恋 (河出文庫文芸コレクション)

文庫版解説は江國香織。今までこの人の小説にはさほど食指を動かされなかったのだけれど(好き嫌いの問題ではなく、単に書かれている題材に興味を持てず)……と言いつつ、今度映画も公開される『間宮兄弟』には題材文体エンディング全てを含め「うまいなあ」…

本当はちがうんだ日記

穂村弘のエッセイ集。たとえ短歌じゃなくっても、このキュートさは希少っすね。 12月、ひとりぼんやりと「今年のクリスマスはどうしよう」と考えていた氏も、無事、結婚相手と古本屋散策を楽しめるようになったみたいで、まずはめでたいです。けれども、それ…

蓼喰う虫 (新潮文庫)

一月ほど前、『細雪』を読了したので、ついでにと、他の谷崎作品にも手を伸ばしてみました。いやー、これを読む前は、てっきり「スワッピング小説」かと勘違いしていたのですが、とんでもないっすね。そんな、単純なジャンル分けできる代物じゃありませんで…

乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

『「わからない」という方法』、『上司は思いつきでものを言う』に続く、橋本治の集英社新書シリーズ第3作。対象は、やっぱりサラリーマンということになるのだろうけれど、うむむ、前2作よりもふくざつな内容だったなあ。扱っている題材が、経済というこ…

ご臨終メディア ―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)

森達也が森巣博を引き込んでの対談集。ふ、ふー。いささか生臭さは漂うものの、ここまで怒るおじさんたちがいなければ、今の日本のメディアはぐしゃぐしゃに崩れ落ちてしまうのかもしれません。ただ、ちょっと、読み返す気にはなれない……。ひさびさに、“団塊…

崩壊

ゴミ出しの途中、管理人さんに話し掛けられた。 「いやー、まいりましたよ。××さんのところのベランダ、備え付けの金具が、ついに取れちゃったんですよ」 「と、取れた?」 「そう、下に落っこっちゃったんです」 築30年のマンション、あちこちガタが来るも…

ニート

2005年のこの時期に、このタイトルで小説が出すということは、どんなにかドロドロで救いのない内容が展開されているのかと、多少気がまえていたのだけれど、読み終えてみると、いつもの絲山秋子の世界が淡々と展開されていたのでした。やはり、根が上品です…

規制

昼前に買い物から帰ってきた同僚の話。 「今さー、交番の前で車止められてて、もうすごいよ、渋滞。」 「へー、なにか事件でもあったのかな?」 正直、このときに思ったのは、10年前に事件を起こした某宗教団体のことだった。 「つーかさ、やっぱりあれじ…

カーテン――7部構成の小説論

先に、この本について「小説論というよりエッセイに近い」と書いたのだけれど、ここんとこ、夜寝る前にちょこちょこと読み直し、ああ、やっぱり、「小説論」なる言語選択で正解かなと感じた次第であります。いろいろと、小説について、示唆に富む文章に溢れ…

恋愛について、話しました。

岡本敏子×よしもとばななの対談集。ああ、ここでははっきりと「人は見た目が10割」と断言しています。ただし、上の本とは違って、「丸顔の人」は「明るい」みたいな言語化できる法則に則っているわけではないようだけれど。つまり、ひとの品は顔とかそうした…

人は見た目が9割

新潮新書の新刊。ははあ。まあ、題名のとおりの本です。<もしも女性の読者で、「この著者は何もわかっていない」と思われる方がいたらご容赦いただきたい>の口調に、9割どころか、10割が現れているような……。冗談として受け止めろってことかな?

営業ものがたり

うう。名作「うつくしいのはら」、この並びで置かれちゃあ、ちょっと遜色してしまわないか? わたしが持っている版、若干上のほうが切れて字読めないし。雑誌で読んだときには、ほんとうに心から打ち震えたのだがなあ。 あと、西原理恵子のお母さんルックは…

あたしンち (5)

書店に置いてある「お試し版」を眺め、即購入してしまいました。No.29――喫茶店の窓に自分の姿を映し中の客に驚かれる――が載っていたのです。マンガでも、CDみたいに、こうした「試視」(って言葉はないか)できる機会が増えればもっといいんだけれどなあ……っ…

スクラップ・ギャラリー

金井美恵子の最新刊。マティス、ルソーにルノワール等の絵を題材にしたエッセイ集です。題材、といっても、横に縦に斜めに、話題は広がっていくのですが。これがおもしろかったから、上の小説(2000年刊)にも手を出したというわけで。はい。 ああ、でも、こ…

彼女(たち)に関する私の知っている二、三の事柄

ふう。ひさびさです。小説を読んで徹夜したのなんて。いやー、おもしろすぎるなあ金井美恵子の文章は。単なる30歳女子無職(いちおう塾講師のバイトをやっている)恋人なし目黒在住の淡々とした生活を描いているだけ、とも取れるわけだけれど、えーと、これ…

青木淳悟(あおきじゅんご)さん

へー、なんかこの写真だけ見ると、ミスチルの桜井氏に似てますね。(主観です。怒らないで。)ああ、保坂和志や島田雅彦、高橋源一郎がプッシュしているのか。なるほどなあ……。そういえば、この記事を読んだとき、保坂氏の「ピンチョンが現れた!」というキ…

野間文芸新人賞決まる

青木淳悟氏(26)の『四十日と四十夜のメルヘン』。出版社は……えーと、新潮社です! よかったね、笙野頼子。ちゃんと、新選考委員は、講談社の商業主義に染まることなく仕事をまっとうしたみたい……と思ったら、あら、青木氏の後に、平田俊子氏(50)の『二人…

麦わらドリル

デビュー作「Eの食卓」をも収録する、原・のらみみ・一雄の短編集。投稿用に描かれたという「デュアル」に、もうメロメロっす。栴檀は双葉よし芳しってやつ? ちょっと意味違うか。けど、センスが、めちゃくちゃいいんだよなあ。もしも、「百円日記」(川上…

あたしンち(11)

11巻目にして、はじめて買いました。初出が、そうか、2001年4月から11月……。もう4年も前の話なんですね。なつかしー。というか、半数以上忘れてる。だけれども、いちど掲載当事に読んでいることは確実なのだから、角田光代が言うような「『あたしンち』は…

かわーいいなー

いつも書店で見るたびに「かわ−いいなー」と思う本。手に取ることもたびたびです。でも、買いません。つーか、買えません。買っても、実用書として利用できないことが目に見えているから。ただ、ときどき書店で、「ああ、今日もあるな」といった感じでほっと…

最後の文士・中原昌也君へ

「一冊の本」で、金井美恵子がさんざいじり倒していた島田雅彦の文章は、ちゃんとWeb上で読めるのでした。ふーん。金井美恵子、わざわざ連載の大事なスペースを割いて、全文を引用しているのにね。で、この島田文章にインスパイアされて書かれたという、阿部…

ロングスリーパー

山田詠美は、毎日10時間以上眠るんだって。まあ、これもまた「作家の(私はふつうの人とは違う)自己申告」なのかもしれないけれど、ちょっと、影響受けたかなあ。この5日ばかり、眠りまくりましたよ。毎日……まあ、9時間ほど。(仮眠含む。)ええと、確…

ぼぎちん バブル純愛物語

こんなこと白状するのはものすごく恥ずかしいのだけれど、買ったことあります、福田和也の『作家の値うち』……。で、その本の中でずいぶんとこの小説、褒められていなかったっけ? 記憶違いかな? いや、そのあまりの熱の入れぶりに読んでみようと当時思った…

ファッション ファッショ マインド編

山田詠美とピーコの「Style」掲載対談集第2弾。ていうか、今回が最終回。例によって、山田詠美の箴言力は絶好調であります。(まんまじゃないけど)「才能のある人が崩れるのが退廃、才能のない人が崩れるのが堕落」とか「流行は、それを知らずに取り入れな…