2005-01-01から1年間の記事一覧

私は美人

ああ、わかるわあ。ここで書かれてること。 だいたい、男は鈍感でいいわよね。 いるかっつーの。自分のこと美人だと自覚してない美人なんて。 だから、酒井順子が、この本で思いきりそのことを指摘してくれて、溜飲が下がった、というか、痒いところに手が届…

軽いめまい

金井美恵子描くところの、特にドラマチックなことの起きない専業主婦の日常生活。 「文章教室」での主人公より、はるかに著者・金井美恵子のパーソナリティを髣髴とさせる主人公でした。 主人公との年代が近い、ということもあるのだろうけれど、ああ、わか…

SAYURI

なんだか、ふつうに「異国情緒」を楽しんでしまいました。 だって、ふだん地元に引っ込んでいると、それこそ外国から見た「日本」(というか「伝統」)になんて触れる機会ないからね。 ちょっと、ディズニーランドでのニッポン(イッツ・ア・スモール・ワー…

青い花(1)

鎌倉の女子校を舞台にした志村貴子によるガールミーツガールストーリー。ふふふー。何よりもこの「鎌倉の女子校」というところがポイントですね。志村貴子のやる気がぷんぷんと伝わってきます。江ノ電から見える海。幼なじみとの再会。図書館にある張り出し…

愛の生活/森のメリュジーヌ

金井美恵子のデビュー作「愛の生活」を含む、10編からなる短編集。ふふー。これはすごいなあ、とふつうに「愛の生活」には興奮しましたね。んんー、1967年の作か。(ちなみに、当時彼女は19歳。)つまり、この時代が醸し出す特有の空気にばっちりやられた、…

文章教室

おっと。これはずいぶんと、文体がこなれている印象があるので、てっきり最近の作かと思いきや、意外や意外、上の「小春日和」よりも前に書かれた小説らしいです。金井美恵子、37歳の作。(先と同様、刊行時の年齢です。)目白4部作の、ああ、これこそが第1…

小春日和

河出文庫版では、先に読んだ「タマや」よりも先に出ているから、てっきり古い作品なのかと思っていたのだけれど、年表によると、こちらの方が後に書かれているようです。金井美恵子、41歳の作。目白4部作の、第3作目。「タマや」同様、「彼女(たち)につい…

小川洋子の繊細さ

読売新聞毎週土曜日に連載されている小川洋子の「ミーナの行進」。そろそろ最終回へと近づいているのでしょうか? 前回、そして今回と、ペットのコビトカバの死について描かれていて、ついつい涙腺が緩みがちになっているのだけれど、作者がことさらに悲しみ…

クマとインテリ

もともと、地元のヴィレッジヴァンガードで表紙に興味を持っていたのだけれど、先日買った「このマンガがすごい!2006・オンナ版」で褒められていたので、購入に至ったという次第であります。 「イタリア男、スーツ、眼鏡がテーマの小粋なCOMIC」(裏表紙よ…

Mr.&Mrs.スミス

おや。気のせいでしょうか。予告編での、アンジーが横目でぎょろりとブラピを睨むシーンが、本編ではなかったような。あの、ダンスシーンでの話ですね。アンジェリーナ・ジョリーがスリットからにょきりと脚をのぞかせてるやつ。ううう。あのときの彼女の顔…

このマンガがすごい!2006・オンナ版

よしながふみ、絶好調だなあ。 自分の好きな人を、多くの人が口を極めて褒めそやしているのを目にすると、なにか、こう、脇の下にたらりと汗が流れるくらい昂奮しますね。(わたしだけかな?)

このマンガがすごい!2006 ・オトコ版

おっとー。小田扉へのインタビュー、これは貴重じゃないかなあ。 今回で、はじめて彼の生年月日を知りましたよ。 74年1月生まれなんすね。 同い年……。 なんだか、ずいぶんデビュー前は絵が下手だったと繰り返してますが、けんそんでしょうか? それから、「…

よしながふみは左利き?

『愛がなくても喰ってゆけます。』を眺め返してみると、どうも、それに間違いがないような気がします。 著者を模したと思われる主人公は、となりの人が右手で箸を持っていても、ちゃんと左手で箸を持っているし。 こういう、(利き手の)細かいところをきち…

イン・ハー・シューズ

先々週の週刊文春で、映画五人衆がベタ褒めしていた作品。 好奇心に駆られて、どれ、どんなものかと観てまいりました。 あまり、家族再生ものには食指が動かないと自分では思っていたものの、ふむ、いざ飛び込んでみると、やはり感動しますね。 キャメロン・…

現実入門

世評の高かった、穂村弘の、現実対応エッセイをようやく図書館で借りてきました。 ふふー。 なるほど。 これは、来てますね。 かわいいっ。 と叫び出したくなる人がいるというのも(いるのかな?)うなずけます。 本文と、あとがきとの大人度のギャップも、…

タマや (河出文庫)

金井美恵子の目白4部作第2篇。 『彼女(たち)について私の知っている2、3の事柄』で、非常にいい味を出していた登場人物が活躍しています。それだけでも、なんだか儲けたような気分なのだけれど、加えて、ここに出て来る男の子たちの(30歳は過ぎている…

爆裂

くだんの、姉歯騒動が勃発する前の話です。 わが老朽化マンションで、業者による説明会が行われました。 そこで、はじめてわたしは、ベランダにできているひび割れを、「爆裂」との名で呼ぶことを知ったのです。 「爆裂」……。 ちゃんとした名前があるのです…

道化師の恋 (河出文庫文芸コレクション)

文庫版解説は江國香織。今までこの人の小説にはさほど食指を動かされなかったのだけれど(好き嫌いの問題ではなく、単に書かれている題材に興味を持てず)……と言いつつ、今度映画も公開される『間宮兄弟』には題材文体エンディング全てを含め「うまいなあ」…

本当はちがうんだ日記

穂村弘のエッセイ集。たとえ短歌じゃなくっても、このキュートさは希少っすね。 12月、ひとりぼんやりと「今年のクリスマスはどうしよう」と考えていた氏も、無事、結婚相手と古本屋散策を楽しめるようになったみたいで、まずはめでたいです。けれども、それ…

蓼喰う虫 (新潮文庫)

一月ほど前、『細雪』を読了したので、ついでにと、他の谷崎作品にも手を伸ばしてみました。いやー、これを読む前は、てっきり「スワッピング小説」かと勘違いしていたのですが、とんでもないっすね。そんな、単純なジャンル分けできる代物じゃありませんで…

乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

『「わからない」という方法』、『上司は思いつきでものを言う』に続く、橋本治の集英社新書シリーズ第3作。対象は、やっぱりサラリーマンということになるのだろうけれど、うむむ、前2作よりもふくざつな内容だったなあ。扱っている題材が、経済というこ…

ご臨終メディア ―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)

森達也が森巣博を引き込んでの対談集。ふ、ふー。いささか生臭さは漂うものの、ここまで怒るおじさんたちがいなければ、今の日本のメディアはぐしゃぐしゃに崩れ落ちてしまうのかもしれません。ただ、ちょっと、読み返す気にはなれない……。ひさびさに、“団塊…

崩壊

ゴミ出しの途中、管理人さんに話し掛けられた。 「いやー、まいりましたよ。××さんのところのベランダ、備え付けの金具が、ついに取れちゃったんですよ」 「と、取れた?」 「そう、下に落っこっちゃったんです」 築30年のマンション、あちこちガタが来るも…

ニート

2005年のこの時期に、このタイトルで小説が出すということは、どんなにかドロドロで救いのない内容が展開されているのかと、多少気がまえていたのだけれど、読み終えてみると、いつもの絲山秋子の世界が淡々と展開されていたのでした。やはり、根が上品です…

規制

昼前に買い物から帰ってきた同僚の話。 「今さー、交番の前で車止められてて、もうすごいよ、渋滞。」 「へー、なにか事件でもあったのかな?」 正直、このときに思ったのは、10年前に事件を起こした某宗教団体のことだった。 「つーかさ、やっぱりあれじ…

カーテン――7部構成の小説論

先に、この本について「小説論というよりエッセイに近い」と書いたのだけれど、ここんとこ、夜寝る前にちょこちょこと読み直し、ああ、やっぱり、「小説論」なる言語選択で正解かなと感じた次第であります。いろいろと、小説について、示唆に富む文章に溢れ…

恋愛について、話しました。

岡本敏子×よしもとばななの対談集。ああ、ここでははっきりと「人は見た目が10割」と断言しています。ただし、上の本とは違って、「丸顔の人」は「明るい」みたいな言語化できる法則に則っているわけではないようだけれど。つまり、ひとの品は顔とかそうした…

人は見た目が9割

新潮新書の新刊。ははあ。まあ、題名のとおりの本です。<もしも女性の読者で、「この著者は何もわかっていない」と思われる方がいたらご容赦いただきたい>の口調に、9割どころか、10割が現れているような……。冗談として受け止めろってことかな?

営業ものがたり

うう。名作「うつくしいのはら」、この並びで置かれちゃあ、ちょっと遜色してしまわないか? わたしが持っている版、若干上のほうが切れて字読めないし。雑誌で読んだときには、ほんとうに心から打ち震えたのだがなあ。 あと、西原理恵子のお母さんルックは…

あたしンち (5)

書店に置いてある「お試し版」を眺め、即購入してしまいました。No.29――喫茶店の窓に自分の姿を映し中の客に驚かれる――が載っていたのです。マンガでも、CDみたいに、こうした「試視」(って言葉はないか)できる機会が増えればもっといいんだけれどなあ……っ…