小春日和

河出文庫版では、先に読んだ「タマや」よりも先に出ているから、てっきり古い作品なのかと思っていたのだけれど、年表によると、こちらの方が後に書かれているようです。金井美恵子、41歳の作。目白4部作の、第3作目。「タマや」同様、「彼女(たち)について私の知っている2、3の事柄」に出て来る登場人物たちの、ほぼ10年前の姿を拝むことができます。80年代中期の、女の子の風俗も楽しめるかな? ただ、自分としては、それよりもむしろ、作中に出て来る(小説家のおばさんが書いたとされる)「小説内小説」の方に、意外に心を惹かれてしまったりして。女の子に妊娠を告げられておたおたする男の子の話(「赤ちゃん教育」)とかね。つまり、これもまた、決して仕掛けに手を抜いてはいない小説なのだけれど、うーん、正直、先に挙げた2編の魅力には、ちょっと叶わなかったかな、というところであります。少女小説、なるジャンルに、あまり関心がないせいかもしれません。