2008-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『赤い長靴』読了

読みやすいなあ。読みやすくて、なんて複雑なんだろう。と感嘆しっぱなし。結婚後10年の夫婦のあれこれ、といって想像されるあれこれとは、たぶん、異なることが描かれている、筈っす。なにがすごいって、事件らしい事件が描かれていないのにもののみごとに…

『パラレル』読了

提出されたイノセンスは、提出された時点で既にイノセンスではないわけだけれど、提出じたいにある種のイノセンスが漂うことは少なからずあって、今のところぼくにとっての長嶋有氏の魅力というのは、この「イノセンス」――というよりもむしろ「ある種」の方…

「ナンシー関大ハンコ展」

たとえ6年も前に召されたからといって、決して現在と関係がなくなったなどということはなく、今でも濃厚に、愛情の対象として自分の中で生き続けているのだけれど、今回の「ハンコ展」(@パルコファクトリー)に足を運び、よりその愛情がビビッドになった…

『遊興一匹 迷い猫あずかってます』読了

ほんとこわいんすよ、猫は。ぼくだって、深夜、犬の散歩中に襲われかけたことがあるし。集団で、だよ。(うろたえますね、ああいうときは。まさか蹴飛ばすわけにもいかないし。)「グレムリン」を、まざまざと思い出した。ふだんは可愛らしいのに、なんらか…

『猛スピードで母は』読了

川上弘美氏の随筆『あるようなないような』に「Hくん」として登場するその飄々とした加減にたいへん好意を抱いていて、前々から読んでみたいとは思ってつつも、どうにも機会がなく、最近図書館づいているのをこれ幸いと、ようやく手に取った次第。長嶋有著。…