「ナンシー関大ハンコ展」

 たとえ6年も前に召されたからといって、決して現在と関係がなくなったなどということはなく、今でも濃厚に、愛情の対象として自分の中で生き続けているのだけれど、今回の「ハンコ展」(@パルコファクトリー)に足を運び、よりその愛情がビビッドになったというか、とにもかくにも「行ってよかった」と、本棚に立てかけてある、羽生善治のハンコ(横に「強いなー将棋」とコピーが付けられている)色紙を眺め、つくづくと思った次第であります。5000個強のハンコ、と聞いて、当初はおそれを抱いていたものの、ひとつひとつが超コンパクトだから、ぜんぶを眺めるのに1日がかりの仕事とはならずに済みましたよ。ろくろ首になっている自画像は、今回はじめて見た。あらゆる意味で、すごいものだ。
 派手すぎず、地味すぎず、全体にとてもいい雰囲気で――ただその上で、せっかくあれらみんな、ハンコとして世に生まれ出でてきたのだから、ハンコ本来の仕事をさせてやらなければかわいそうだよなあ……飾るだけでなく……故人に申し訳が立たない……てなことも思ったり。つまりは、「押したい!」という欲望を抑えるのに、ひじょうな努力を要したということで。蛇の生殺しというか。神の手がなければ、「スタンプ会」はやはりもう無理なのかな?(それと、単行分未収録コラムの件も、この際なんとかなって欲しいものです。切実に思う。)