2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ピーター・シンプル

金井美恵子が「一冊の本」で「ピーター・シンプル」なる本を取り上げている。 この何ヶ月か、文句のつけようのない面白さでワクワクしながら読んだのが、十九世紀前半の人気作家、マリアットの海洋冒険小説『ピーター・シンプル』(全三巻、伊藤俊男訳)で………

文法警察のシェパード

「敷居が高い」というと、ぼくなんかはふつうに「一見さんお断り」とか、そういう、容易にコミュニケーションを取らせないような対象のことを頭に思い浮かべてしまう。だから、とうぜん、その逆の「敷居が低い」なる表現も、ぜんぜん自分の中では平気に存在…

参考/欲望

これは、全面的に「双調」と関係しているというわけではないのだけれど、明らかに、自分より不遇をかこってきた人の話に触れて、自分が生きていく上での参考にしたい、という心情というのは、なんなんだろうね? 不幸への防衛本能? 恥ずべきものという自覚…

裏モチ2

ケンザブロウ・オオエに倣い、2.3年ほど、同じ作家の本ばかり集中して読んでみようかなと何となく思い、じゃあ、今年はオサム・ハシモトを攻めてみようか、という動機も、(「双調平家物語」を読み進めていく上で)そういえば、あった。忘れてた。来月、氏の…

裏モチ

ちょっと期待はしてるんだ。「双調平家物語」最終巻が刊行された暁に、各メディア(ってまあだいだい新聞と雑誌だろうけど)でこのシリーズがどういう風に取り上げられるかという過程に。今年の夏だしね、それ。そういうモチベーションも、このシリーズを読…

技術不足だ

早いものだ。もう来た。「双調平家物語」4巻。……このよろこびは、つまり、1ヶ月前の自分に言っても「は?」なのと同じで、ここに来ている人にとっても「は?」なのだろうな……。これが映画やマンガやドラマや最新刊の小説ならまだしも、1999年刊の本じゃあ…

符合

IZAMにも吉川ひなのにもとくべつの思い入れはないのだけれど。 「IZAMは02年に私小説を出版していますが、幼児期に受けた性的虐待や家族との葛藤などを語っているのを読んで、ひなのとの破綻にも得心しました」 この「得心」の使い方は、ちょっとリスキーな…

3巻読了

というわけで、「双調平家物語」3巻を読み終える。この巻は、天武天皇による壬申の乱、および持統天皇による大宝律令制定に眼目が置かれていた。特に、持統天皇の強靱なパーソナリティーは、まさに「女帝」と呼ぶに相応しいもので――と書いたところで、「女…

4巻注文

「双調平家物語」4巻をbk1で注文した。はじめてbk1を使う。某所では「通常3〜5 週間以内に発送」と書かれてあったので。あまり手を出す人がいないのだろうか?

なんでこういうところにしか反応しないのか

亀の歩みで、「双調平家物語」3巻を読み中。(本日、25歳で文武天皇がお隠れになられました。)もう、今年前半の読書はこのシリーズがメインとなるかも。 そんな中、本編とはあまり関係ないながらも、んん、と目を引いた箇所。 則天女帝の御世には、美童ば…

6月公開か……

松本人志の映画「大日本人」、これ、左右相称ということを意識しているのかしら? 末木文美士氏(→●)みたいに。

音源:Nr5

聴いてるよ。昨日書いたフルトヴェングラーのCD。ベートーヴェンの第五「運命」。あーたまにはクラシック聴くのも気持ちいいなあ。つか、これ聴いてるとかなり高揚感に襲われるんすけど……。背中と両腕が総毛立つ。緊張と緩和の繰り返し。指揮者って、この全…

といいつつ本日の感心

「音楽の霊性」P.148より。指揮者ヴィルヘルム・フルトヴェングラーのことば。 「聴衆が講演を理解することができるための唯一の欠くべからざる基盤は、講演者が自分の言っていることを分かっていることであり、自分が講演しているテーマのほとんどの意味を…

カモ的

あー。自分、けっこう権威に弱いのかなあ。肩書き、というか、成功者の発することばをありがたがる傾向が、たぶんにある。それはそれで、新たな世界に繋がるきっかけとなるかも知れないからかまわないといえばかまわないのだけれど――ちょっとねえ。いや、自…

体勢の名

松浦理英子が「裏ヴァージョン」で描いている、この体勢の名は、いったい何というのだろう? 小学校二年の時学校の廊下で、よそのクラスの男の子が男性教師に足頸を摑んで逆さに持ち上げられ、続いて床の上で足頸を摑まれたままのしかかれて体を二つに折り曲…

即興……

中国の皇帝がある名高い芸術家に雄鶏の墨絵を描くようにと頼んだ。「四年後においでくだされば、その時には用意ができているでしょう」と画家は答えた。それから四年後、皇帝とお供の者たちがやって来たが、約束は果たされぬままに帰らねばならなかった。画…

文章/男らしさ

口語体・文語体にこだわるのも、もしかすると自分の中の「男らしさ」にかかわっていたのかもしれないなーとすこし内省。ぶっちゃけ、ここんとこ、「30代男的な文章が書きたいなー」と思ってたのだ……。われながら自縄自縛過ぎ。ゆるめます。

不比等登場

「双調平家物語」(次第にこちらの方が正真正銘の息抜きと化してきている)3巻。藤原不比等登場。へー。と驚くのは、異母姉を妻(五百重娘)にしているんだという事実に対し。異母姉という存在じたいもいまいちピンと来ないのだけれど、つまり、夫婦どちら…

陥穽

まあ個人的には、男らしさ女らしさなるものに、いちどくらいは疑いの持ったことのある人の方が付き合いやすいな、と思う。より正確には、世の男らしさ女らしさの軌範から逸脱している人というか。やっぱり、何か、こわいんだ。男らしい人女らしい人って。年…

諸事だらけ

まだ1月の下旬なのに、鼻づまりが酷くなってきた。点鼻薬は、欠かせない。今年の花粉の量はさほどではないという話だけれど、どうなんだろう、この時期にもう「到来」しているということは、3月4月の最盛期にはどれほどの症状に対処しなければならないの…

他にも併読中

来月の初めまでに「少年への性的虐待――男性被害者の心的外傷と精神分析治療」(作品社)なる本を読み通さなければならなくなった。ううう。ハード。と最初の数ページをめくっただけで恐れをなしてしまう。ここ最近、決して夜見た夢の内容を忘れたことはなか…

併読中

今年は井上靖の生誕100周年らしい。知らなかった。あー。だからかー。とここでぽんと膝を打つのは、「風林火山」や「蒼き狼」が相次いで映像化されている現状に対する謎があったからだ。なるほど。生誕100周年という名目があれば、どんどんコンテンツを利用…

3巻入手/「額田女王」

神保町で「双調平家物語」3巻を入手。ついでに、同時代を扱っていると思われる井上靖の「額田女王」も買ってみた。学生時代、新潮文庫の「歴史小説フェア」で推された際に、1度だけ読んだことがある。ただし、内容はまるで覚えていない。「えーと、たしか…

入鹿暗殺

最後には殺されるとわかっていながらも、実際にその殺しの描写を目の当たりにすると少し凹む。「乙巳の変」――蘇我入鹿が、中大兄皇子の刃に倒れる箇所だ。すげーなー、実の母親(皇極天皇)の目前で人殺しをするなんて。中大兄皇子、よっぽど自分の育ち方に…

インターミッション

知らなかった。黒澤明や成瀬巳喜男作品の常連に、藤原釜足(ふじわらかまたり)なる著名な俳優がいたらしい。 Wikipedia:藤原釜足(→●) ここによると、1940年、偉人の名を冒涜しているとして、内務省から改名を命じられたが、戦後元に戻したとある。へえー…

鎌足登場

結局、蘇我蝦夷の回想の中でしか我々読者は厩戸皇子(聖徳太子)に接することができない。彼の天才がいかなる形で花開くかをつぶさに見たかったのに。残念至極。が、ここに来て、その渇を癒すべく、新たなる知の権化が登場する。(「天才」ではないけれど。…

秀才の正体

「双調平家物語」1巻にあった記載で、引っかかっていたところがある。 「蘇我の御曹司は頭がいい」とは、以前からの評判である。易経を講じた旻(みん)法師も、「一人を除けば、学堂に集う者の中で、蘇我の嫡子の出来は一番」と太鼓判を押した。(P.264) …

炊屋姫

さすがにもう「双調平家物語」内で起こる殺人には慣れた。あまりに数が多すぎるのだ。そのいちいちに「権力欲云々」と感心してはいられない。ただ、今読んでいるのは、昨日に引き続き、蘇我馬子が息子の蝦夷に過去の出来事について語っているくだりだから、…

すめらみこと

今のところ、まだ2回しか出て来ていないのだけれど、「天皇」と書いて「すめらみこと」とルビが振られている語がある。なんやねん、これは? と突っ込みを入れたくなるような極度に難度の高い読み。新明解国語辞典で調べてみると、<天下を統治する天皇>と…

煩雑がツボ

「双調平家物語」第2巻に突入。現在、蘇我蝦夷が父親蘇我馬子から、蘇我の出自についての講釈を受けている最中だ。――とすると、とうぜん、今までぼくの人生にはあまり関わってこなかった「系図」なるものにも目を通さざるを得なくなる。例えば、こんな代物…