技術不足だ

 早いものだ。もう来た。「双調平家物語」4巻。……このよろこびは、つまり、1ヶ月前の自分に言っても「は?」なのと同じで、ここに来ている人にとっても「は?」なのだろうな……。これが映画やマンガやドラマや最新刊の小説ならまだしも、1999年刊の本じゃあなあ……。しかも、ものすごい傑作と評価が高いというわけでもなく――といったら橋本治にものすごく失礼だけれど(←あとでここの部分は削除するかもしれない……)――いまいち、位置づけにためらいをあらわす本ではあるしなあ……。いや、面白いんすよ。むちゃくちゃ。聖武天皇長屋王との反目し合う間柄なんて――と書いていて、「聖武天皇」「長屋王」という単語じたいにまとわりついてくるオーラに、何というか、御し難いものを感じたり……。「だれ? 長屋王て?」て言ってるもんな。1ヶ月前の自分なら。「興味ないし」とか。それをいちから説明する能力はとうぜん自分には(今のところ、と楽観的に限定して)備わってないし、かといって、長屋王がどういう人物だかわからないと、聖武天皇と反目し合う間柄に対する面白さも伝わり切らないだろうしなあ。ま、別に、ささいなことといえばささいなことではあるんだ。聖武天皇29歳と長屋王54歳の反目し合う間柄、なんて。(長屋王の死には関わることだけれど。)結局、彼らの関係に、つい我が身を投影してしまったことによるドキドキ感もあるのだろう。んー、でも、やっぱちょっとまどろっこしいな。「うわー面白しれえなあこれ!!」という興奮をきちんと伝え切れないのって。<よろこびをー 他の誰かと分かりあうー それだけがー この世の中を熱くするー>なる、ふるーい歌も思い出す……。こういうケースの場合、具体的に、どういう技術を鍛えるよう自分をし向けたらいいんだろうね?