ピーター・シンプル

 金井美恵子が「一冊の本」で「ピーター・シンプル」なる本を取り上げている。

 この何ヶ月か、文句のつけようのない面白さでワクワクしながら読んだのが、十九世紀前半の人気作家、マリアットの海洋冒険小説『ピーター・シンプル』(全三巻、伊藤俊男訳)で……

 ものすごい誉めようだ。

 実にはなばなしく晴れやかで楽しい小説で波瀾万丈、つぎからつぎへと、まるで近代小説とは縁遠く見せ場たっぷりのエピソードと物語が、剛胆さとロマンチックさの混じるユーモアで語られ……

 更にすごい。

 主人公で語り手のピーター・シンプルの女の子に変装しても見やぶられない少年・青年時代の容姿を、私は三年程前のミランのカカに重ねながら読んだのだったが……

 あーたしかにカカってきれいな顔してるもんなー。

 ナポレオンと同時代の人らしい。

 「実体験に基づいた他に類をみない迫真の描写」……

 メモメモ。(ちなみに、いま出回っている日本語版のタイトルは「ピーター・シムプル」らしい。つまり、1941年に岩波文庫で出版されて以来、いちども改版されていないようだ。字の大きさ、どんなもんなんだろ?)