体勢の名

 松浦理英子が「裏ヴァージョン」で描いている、この体勢の名は、いったい何というのだろう?

 小学校二年の時学校の廊下で、よそのクラスの男の子が男性教師に足頸を摑んで逆さに持ち上げられ、続いて床の上で足頸を摑まれたままのしかかれて体を二つに折り曲げられているところを見た。教師の股座が男の子のお尻に触れそうで、後になってあれは性行為の体位の一種とほぼ同じだと気がついた。あの教師はそれを意識していただろうか、まさか男の子を犯したりはしていなかっただろうけれど。男の子の方ははしゃぐでもなく妙にぐったりしてされるがままだった、ああされることに何がしかの官能を覚えていたのかも知れない。

 P.124より。つまり、<足頸を摑んで逆さに持ち上げられ、続いて床の上で足頸を摑まれたままのしかかれて体を二つに折り曲げられている>というところなのだけれど。人に言う際に、まさかここまで長い文章をつらつらと述べるわけにもいかないし。何かないかな? ひとことで言い表せる言葉。ちなみに、松浦氏が、小説の作者として、この教師の行為に性的な要素を見出したのはさすがの慧眼だと唸りつつ、男の子が<はしゃぐでもなく妙にぐったりして>いたのは、たんに「呼吸が出来なくて苦しいから」というのも大きかったと思うよ。