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子どもを狙え!

アメリカ・キッズマーケティングについて事細かに書かれた著。 たいへんだな、アメリカの子どもって。なんせ、 「最高の宣伝とは、この商品がなければあなたは敗者だと思い込ませる広告です」 なんて言い切る企業に囲まれてるのだから。 ……傍観できる立場じ…

わからないなあ。 そんなに、この城の存在というのは不条理なのでしょうか? 城の存在、そのものだけが。 もっと言うと、Kのパニックは本当に城だけが責を負うべきものだったのでしょうか? つまりは、Kの存在そのものは、まったく不問に付されていていい…

写真ノ話

岡田史子のヌードに度肝を抜かれちゃいけません。 ぼくには、ほんものはほんものにしか創れないという、古風な信念があります。 なる言葉に裏打ちされた、“天才”アラーキーの写真語り尽くし。 エピグラフは、ズバリ「杉浦日向子に捧ぐ」。 ――なるほど、凄艶…

コラボレーションの極意

単なる腹式呼吸ではなく、それに「眼をつぶる」を付け加えれば結構いいとこまでいけるよ ――なるメッセージの書として読みました。はい。 「レッド・ゾーン」と「グリーン・ゾーン」なる命名は真剣に絶妙だと思います。 「EQ」よりも、よっぽど言霊としての…

アートの仕事

真面目に馬鹿をやっているというのは、自分にとってけっこうな褒め言葉で、 それを会田誠流のわかりやすい言葉に言い換えると、こういうことになるかと思われます。 魅力的って、なろうとしてなるもんじゃなくて、結果としてなるものだから難しいんだと思い…

ミッキーマウスのプロレタリア宣言

うわーい。アジテートされまくり、っと。 この国の文物は、自分たちが犬やネズミであることを隠し、 あるいはゴマかして癒し、忘れさせるためにある。 だから思想や学問研究だけでなく、小説、アート、音楽から、 新聞、雑誌やマンガ、テレビ、ネット情報に…

何はさておき

これで都合3回、ナンシー関による宮藤官九郎の容姿評を読んだことになります。 1回目は雑誌掲載時。2回目は単行本刊行時。そして今回、文庫本刊行時。 そのたびごとに、抱く感想は違っているのだけれど、 今回は、「ははー、別にナンシー宮藤官九郎を貶して…

みずうみ

集団の暴力により損なわれた幼い魂がいかにして恢復の軌跡を辿っていくか? というかなりに思いテーマを扱っているので、 決して読後感はすっきりさわやかというわけにはいかないのだけれど、 それでも、文章に緊密感があって「ああ、読んでよかったなあ」と…

王国その3 ひみつの花園

正直、このシリーズが始まる前には、 「王国」という題名からけっこう大きな話を期待していたのだけれど、 意外に最後は小さくたたまれた、という感じ。 よしもとばなながゲイにシンパシーを感じる必然性は皆無だと自認しつつ、 それでもここに出てくるふた…

私は美人

ああ、わかるわあ。ここで書かれてること。 だいたい、男は鈍感でいいわよね。 いるかっつーの。自分のこと美人だと自覚してない美人なんて。 だから、酒井順子が、この本で思いきりそのことを指摘してくれて、溜飲が下がった、というか、痒いところに手が届…

軽いめまい

金井美恵子描くところの、特にドラマチックなことの起きない専業主婦の日常生活。 「文章教室」での主人公より、はるかに著者・金井美恵子のパーソナリティを髣髴とさせる主人公でした。 主人公との年代が近い、ということもあるのだろうけれど、ああ、わか…

愛の生活/森のメリュジーヌ

金井美恵子のデビュー作「愛の生活」を含む、10編からなる短編集。ふふー。これはすごいなあ、とふつうに「愛の生活」には興奮しましたね。んんー、1967年の作か。(ちなみに、当時彼女は19歳。)つまり、この時代が醸し出す特有の空気にばっちりやられた、…

文章教室

おっと。これはずいぶんと、文体がこなれている印象があるので、てっきり最近の作かと思いきや、意外や意外、上の「小春日和」よりも前に書かれた小説らしいです。金井美恵子、37歳の作。(先と同様、刊行時の年齢です。)目白4部作の、ああ、これこそが第1…

小春日和

河出文庫版では、先に読んだ「タマや」よりも先に出ているから、てっきり古い作品なのかと思っていたのだけれど、年表によると、こちらの方が後に書かれているようです。金井美恵子、41歳の作。目白4部作の、第3作目。「タマや」同様、「彼女(たち)につい…

現実入門

世評の高かった、穂村弘の、現実対応エッセイをようやく図書館で借りてきました。 ふふー。 なるほど。 これは、来てますね。 かわいいっ。 と叫び出したくなる人がいるというのも(いるのかな?)うなずけます。 本文と、あとがきとの大人度のギャップも、…

タマや (河出文庫)

金井美恵子の目白4部作第2篇。 『彼女(たち)について私の知っている2、3の事柄』で、非常にいい味を出していた登場人物が活躍しています。それだけでも、なんだか儲けたような気分なのだけれど、加えて、ここに出て来る男の子たちの(30歳は過ぎている…

道化師の恋 (河出文庫文芸コレクション)

文庫版解説は江國香織。今までこの人の小説にはさほど食指を動かされなかったのだけれど(好き嫌いの問題ではなく、単に書かれている題材に興味を持てず)……と言いつつ、今度映画も公開される『間宮兄弟』には題材文体エンディング全てを含め「うまいなあ」…

本当はちがうんだ日記

穂村弘のエッセイ集。たとえ短歌じゃなくっても、このキュートさは希少っすね。 12月、ひとりぼんやりと「今年のクリスマスはどうしよう」と考えていた氏も、無事、結婚相手と古本屋散策を楽しめるようになったみたいで、まずはめでたいです。けれども、それ…

蓼喰う虫 (新潮文庫)

一月ほど前、『細雪』を読了したので、ついでにと、他の谷崎作品にも手を伸ばしてみました。いやー、これを読む前は、てっきり「スワッピング小説」かと勘違いしていたのですが、とんでもないっすね。そんな、単純なジャンル分けできる代物じゃありませんで…

乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

『「わからない」という方法』、『上司は思いつきでものを言う』に続く、橋本治の集英社新書シリーズ第3作。対象は、やっぱりサラリーマンということになるのだろうけれど、うむむ、前2作よりもふくざつな内容だったなあ。扱っている題材が、経済というこ…

ご臨終メディア ―質問しないマスコミと一人で考えない日本人 (集英社新書)

森達也が森巣博を引き込んでの対談集。ふ、ふー。いささか生臭さは漂うものの、ここまで怒るおじさんたちがいなければ、今の日本のメディアはぐしゃぐしゃに崩れ落ちてしまうのかもしれません。ただ、ちょっと、読み返す気にはなれない……。ひさびさに、“団塊…

ニート

2005年のこの時期に、このタイトルで小説が出すということは、どんなにかドロドロで救いのない内容が展開されているのかと、多少気がまえていたのだけれど、読み終えてみると、いつもの絲山秋子の世界が淡々と展開されていたのでした。やはり、根が上品です…

カーテン――7部構成の小説論

先に、この本について「小説論というよりエッセイに近い」と書いたのだけれど、ここんとこ、夜寝る前にちょこちょこと読み直し、ああ、やっぱり、「小説論」なる言語選択で正解かなと感じた次第であります。いろいろと、小説について、示唆に富む文章に溢れ…

恋愛について、話しました。

岡本敏子×よしもとばななの対談集。ああ、ここでははっきりと「人は見た目が10割」と断言しています。ただし、上の本とは違って、「丸顔の人」は「明るい」みたいな言語化できる法則に則っているわけではないようだけれど。つまり、ひとの品は顔とかそうした…

人は見た目が9割

新潮新書の新刊。ははあ。まあ、題名のとおりの本です。<もしも女性の読者で、「この著者は何もわかっていない」と思われる方がいたらご容赦いただきたい>の口調に、9割どころか、10割が現れているような……。冗談として受け止めろってことかな?

スクラップ・ギャラリー

金井美恵子の最新刊。マティス、ルソーにルノワール等の絵を題材にしたエッセイ集です。題材、といっても、横に縦に斜めに、話題は広がっていくのですが。これがおもしろかったから、上の小説(2000年刊)にも手を出したというわけで。はい。 ああ、でも、こ…

彼女(たち)に関する私の知っている二、三の事柄

ふう。ひさびさです。小説を読んで徹夜したのなんて。いやー、おもしろすぎるなあ金井美恵子の文章は。単なる30歳女子無職(いちおう塾講師のバイトをやっている)恋人なし目黒在住の淡々とした生活を描いているだけ、とも取れるわけだけれど、えーと、これ…

ぼぎちん バブル純愛物語

こんなこと白状するのはものすごく恥ずかしいのだけれど、買ったことあります、福田和也の『作家の値うち』……。で、その本の中でずいぶんとこの小説、褒められていなかったっけ? 記憶違いかな? いや、そのあまりの熱の入れぶりに読んでみようと当時思った…

ファッション ファッショ マインド編

山田詠美とピーコの「Style」掲載対談集第2弾。ていうか、今回が最終回。例によって、山田詠美の箴言力は絶好調であります。(まんまじゃないけど)「才能のある人が崩れるのが退廃、才能のない人が崩れるのが堕落」とか「流行は、それを知らずに取り入れな…

東京日記 卵一個ぶんのお祝い。

どうでしょう? 気付きましたか? 「某村さん」の正体は? まあ、この本を読むくらいの川上弘美好きのひとにはお見通しだったのかもしれないけれど、わたしはまったく気が付かなかった。だって、なんだか、この文章を読んでいると、とてつもなくダンディな像…