「汚名」

 ケーリー・グラント性的指向には興味はない。ないんだけれど、うーん、ここでの彼は、あんまりイングリッド・バーグマンを愛しているように見えないんだよなー。あれじゃあ、まるで、イングリッド・バーグマンが殺されていくのを文字通り見殺しにしているみたいだ。そもそも、その原因を作ったのは彼じしんに他ならないのだし。それに対する自責の念なんてちっともうかがえないくらいだし。こちらしては、どう感情を持っていけばいいのかしばし悩んでしまった。ヒッチコック1946年の作。世評は、ものすごく高いらしい。それだけに、何だか、自分のずれ具合が不思議ではあった。組織に圧される個人の図、というのと、あれはまたちがうしなあ……。