乳首

 この時期に、シャツ1枚で(したに下着をつけないで)町内を闊歩している男性たちの胸からは、とうぜんのように、汗でシャツが透けて、乳首の位置が容易に察せられるようになっている。
 確か、岸本佐知子のいた会社では、「男性の乳首の場所当てクイズ」(ワイシャツの上から、乳首があると思われる位置をボールペンの先で指すゲーム)というものが行われていたと記憶しているのだけれど、いまの時期には、そのゲームも、ゲームとしての妙味を半減させているかもしれない。けっこう難易度は高いという話ではあったのだが、わたしはやったことがないので、じっさいのところはよくわからない。
 そもそもこのゲームは、「はたして男性の乳首の存在に意味はあるのだろうか」という深遠な問いから発生したとのことである。確かにこの時期に、あちこちの男性が服の下から容易に乳首が透けて見える状態でふつうの顔をして町中を闊歩している様を目にすると、そういう疑問にも襲われるのだろうと、得心が行く。
 よくよく考えると(というか、よくよく考えなくても)かなり奇妙な光景ではある。