『ニュースの読み方使い方』読了

 良心の権化ともいうべき池上彰氏の文体で「もしこの本を買うことがあなたにとって単ある浪費になったのだとしたらたいへん申し訳なく思う」といったことを(実際の文ははるかにシンプル)いわれたら何だかいわれたこっちの方が「へへへー」とひれ伏したくなるような気持ちになりますね……。まあそのくらい、この書の冒頭で挙げられている「わかってもらって、なんぼだろう」の姿勢は、全編に貫き通されているわけです。確かに、前に読んだ『池上彰の新聞勉強術』とかぶっている部分がないわけではないものの(何せ「ニュース」の中に「新聞」が入っているのは致し方ない)、それでも例えば、テーマを絞り、キーワードを頭に入れ、ニュースに触れ、また書店を巡るという方法を披露しているあたりには、この本の、書名に偽らない真骨頂が遺憾なく発揮されているのではないか、と。そんなわけで、自分はけっして池上氏の杞憂パターンには嵌らなかったことをここで伝えたい所存であります。2004年にダイヤモンド社から出た単行本に、2007年用にと新たに色直しを施されての登場。新潮文庫版。唐突だけれど、池上氏、今度はビジュアルに頼らないラジオという場で「週刊こどもニュース」(に類する「わかってもらって、なんぼだろう」を極めたテーマ)に挑戦なさったらいいのではないでしょうか――となんとなく思いました。もう既にやってらしたら失敬。