2007-01-01から1年間の記事一覧

はみだす

知ってましたか? 「はみだす」は「食み出す」と書くということを。 「たりない」を「足りない」と書くのもちょっとどうかと思うのだけれど、これはさすがに見慣れているし。 でも、「はみだす」が「食み出す」とはなあ。べつに、食のことだけを扱っているわ…

ハゲタカ週間

見てましたよ今週はずっと土曜ドラマ「ハゲタカ」の再放送。いやー今更ながら凄いっすねー大森南朋の色気というのはー。おでこのしわ一本にさえ宿る色気。ひとえにあれは毎回インサートされる栗山千明に「す、すみませんでした〜」と喪服姿で土下座する大森…

恋のトートロジー

プルースト曰く。もともと恋に心の平静などあろうはずがない。なぜなら―― なぜなら人が手に入れたものは、 更にそれ以上のものを欲するための 新たな出発点以外の何ものでもないからだ。 「失われた時を求めて」3巻327ページより。 よく松本人志もこうい…

クーラー壊れてたんだぜ

ひどいだろ……。んでもって、修理の人が、二十日に来る、なんてことになってたから、やれやれ、と、人目を忍び、超軽装でこの週を過ごす。やっぱり、気温三十度を超すと、人間(ていうか俺は)、何もできないっすね。一応、ここは六階なので、完全無風地帯と…

金閣における三島タブー

橋本治「「三島由紀夫」とはなにものだったのか」より。金閣寺の、写真掲載拒否に関するエピソード。 数年前、私は『ひらがな日本美術史』という本の二冊目を出した。日本美術史の本で、鎌倉時代と室町時代をその範囲にする。そこで、室町時代の建設として、…

禅の文化展(@上野)

こわいね。のこってるんだ。焼失前の金閣の写真。内部で、でんと鎮座ましましている足利義満像のオーラが凄すぎ。(黒過ぎ……。)呑気に「枯淡と冷涼と忘我の境地を求めて」なんて思って行ったら、こちらの将軍家コーナーで確実に足をすくわれること請け合い…

それというのも流行は

少なくとも 何年かの間だけはそう断言していたが、 それというのも流行は、 それ自体が変化の必要から生まれただけに、 必ず変化するからだ ――なるほどなあ。ってこれはプルーストの格言。というより、「失われた時を求めて」三巻に載っている、んんー、から…

勘違い:犬は吠えるがキャラバンは進む

ええっ。と、驚いたってほどでもないんだけれど、いややっぱり驚いたのかな? 今、「失われた時を求めて」の三巻を読んでて、そこに「犬が吼えても、隊商は進む」の意味が載ってたんですよ。 羨望する者のつまらない批評をものともせずに、確固たる信念で行…

バレエ・リュス展(@目黒)

再来年がバレエ・リュスの旗揚げ100周年だそうで。前に読んだ読売の記事では、この展覧会の他にも、今年は、関連書が出たりーの、映画が公開されたりーの、ニジンスキーの代表作が舞台化されたりーのと、いろいろ大騒ぎの様相です。で、そんな騒ぎの空気…

「池上彰の新聞勉強術」

5月くらいにbk1でベストセラーリストに載ってたんですよね。なんでだったんだろう? その唐突さに虚を衝かれて(というほど大げさなものでもないのだけれど)、ひとまず購入。2006年の本。著者の池上彰氏については、ほとんど何も知りません。こどもニュー…

文字が消える世界

上記「暗号解読」によると、フランスの作家ジョルジュ・ペレックの「消失」なる小説には、eの字がひとつも含まれていないそうです。しかも、その英訳も、同様にeの字が使われていないという……。ほう。すごいなあ。と、すなおに感心してもいいのだけれど、…

「暗号解読」(上)

文庫新刊コーナーで立ち読み。アラン・チューリングのことが書かれているらしいので、購入。途中、あれ? これどこかで読んだことあるな、と思ってたら、あーなるほど、海野弘「二十世紀」の参考文献リストに載っていました。そもそも、チューリングのことも…

「権力の日本人」読み中

「双調平家物語」の副読本――と言うか、古代人がやたらと登場する随筆集です。この本で扱われているのは、大宝律令から平家の時代までだから(時間軸は逆向き)、んんん、もしタイトルの「権力」をキーワードとすると――橋本治じしんは、それこそ「キーワード…

ユリイカ:特集「石井桃子」

ほう。あの、名作名高き「幻の朱い実」が米寿間近の作だったとは。と、現在「クマのプーさん」「プー横町にたった家」しか本棚にない人間にとっては――「ドリトル先生」も「ピーターラビット」も「ノンちゃん雲に乗る」も読んだことがないのです――いろいろと…

金井美恵子休載

おや。と、「一冊の本」七月号の目次を見て溜息。今月も、先月に引き続き、金井美恵子の名が載っていません。ふう、残念だなあ。と、何の気なしに編集後記に目を移してみたら――あー、やっぱりねえ。 前号でおことわりしませんでしたため、多くの皆様からお問…

Yonda時計がやって来た

(正確にはYonda?リストウォッチ。)わー、かわいいと何の躊躇もなく叫べるような代物です。新潮文庫の応募マークを、来る日も来る日もちょきちょきと50枚集め、応募してから4ヶ月後にやって来ると言われておきながら、その実、1ヶ月にはもう届いていると…

置き換え自由

昔、小泉今日子と永瀬正敏が離婚をしていなかった頃、ということはつまり、渡部篤郎と村上里佳子も離婚をしていなかった頃、ナンシー関が、どうして永瀬正敏・渡部篤郎・浅野忠信を好きだという人たちはどこか自信満々な雰囲気を漂わせているのだろう? との…

ダ・ヴィンチ展(@上野)

撃沈……。人びとの頭越しに、馬の脚らしきものしか見えなかったです。なんだい。1400円も払って人の頭を見に来たんじゃないやい。というような抗議の暴動でも形成されるかと思いきや、そんなことは、あらかじめ入り口で荷物チェックが行われていたくらいだか…

海野弘「二十世紀」読了

うん、やっぱり読みやすかったですね。海野弘版「二十世紀」。それはもちろん、つい先頃、橋本治版の「二十世紀」を読み終えていたからに他ならないのだろうけれど、それだけではなく、十年ごとに区切るディケイド法式というのが、実のところ、自分の考えに…

「老人力」補足

昨日の捕足です。大江健三郎の語る「老人力」について。 さて、二十一世紀日本語の辞書を自負する『広辞苑』が採用しなかった言葉として、それが良識だとは思うけれど、残念なのが「老人力」です。 今年の成人式でも、全国で、若い日本人にこうあってほしい…

大江健三郎の嫌いなことば

美しい国 凜とした 鳥肌がたつ 〜力 「大江健三郎、106の質問に立ち向かう」より。 んん? 大江センセイ、たしかまえに、「老人力」ってことばは粋だって誉めてたような……。と思ったけれど、そもそもこの「老人力」ということば自体が、「〜力」なることばへ…

「スピリチュアル」ってどう?

まだまだ「大江健三郎 作家自身を語る」読み中。 氏は、テレビにおけるスピリチュアルな「人気者たち」にあまりいい感情を抱いてないようです。その際に提出される、子供の頃おばあさんから聞いたエピソード、というのが、まあなんというか、グロテスクの極…

海野弘「二十世紀」購入

海野弘著「二十世紀」を購入。「陰謀の世界史」「スパイの世界史」「ホモセクシャルの世界史」シリーズの最新刊。つい先日、橋本治の、同じく「二十世紀」なる本を読み終えたばかりだから、それなりに下地は出来ているのではないかと。橋本版は1年ごとの編…

雪が降ると昂奮する

「大江健三郎 作家自身を語る」読み中。 「万延元年のフットボール」の鷹四と同じように、夜中、誰もいないのを見計らって、30代の大江健三郎は雪の中を素裸で転げ回ったことがあるそうです。 『万延元年のフットボール』の、鷹四が大雪の夜、素裸になって庭…

「大江健三郎 作家自身を語る」を買ってきた

なるほどなあ、と感心するのは、流行っているから、という理由ではないのだろうけれど、「大江健三郎 作家自身を語る」という聞き書き形式で記された本がひじょうに読みやすいということです。といっても、まだ買ってきたばかりだから第1章しか読み終えてい…

雪子とアルコール

「細雪」のヒロイン、蒔岡家の三女、雪子のモデルは「アルコール依存症」だったとか(→●)。わりに意外な事実。うーん。雪子というより、その姉の幸子の方がどちらかといえば「アルコール依存症」に陥りやすいようなタイプであったような気がしないでもない…

わりにこうした言葉に触れるのは好きだ 

以前、井上ひさしさんとお会いした時、人間が無理して作らなければいけないのは“笑い”だとおっしゃっていました。嫌なことやつらいことは現実にたくさんあるから、努力しなくても経験できるけど、笑いは人工的に作る必要がある、と。僕は“驚き”もそうだと思…

新しい「花椿」

次号から「花椿」がリニューアルをするらしいです。何でも、奇数月号はビジュアル重視(「みる花椿」)、偶数月号は文章重視(「よむ花椿」)になるのだとか。ふーむ……。ビジュアル重視、というのは、何となく想像がつくのだけれど、文章重視、というのは、…

「週刊東洋経済」を買ってみる

「健康商売のカラクリ」というタイトルに惹かれて、生まれてはじめて、「週刊東洋経済」を購入。ほほう。うわさの佐藤優が、「立身出世するために今、あなたがすべきこと」なる文章を寄せてるよ。ぱらぱらと目を通す。<一般論として、日本社会では、周囲か…

黙って帰っちゃ駄目だよ(たぶん)

小学校一年の時、永津さん(仮)という女の子の誕生日パーティーに呼ばれて行ったのだけれど、どういう事情があったのかは忘れたが、このガキは、誰にも何も告げずに、家に帰ってしまったのでした。母親、ねちねちと、怒る怒る。怒られて、ぼくは、実のとこ…