文字が消える世界

 上記「暗号解読」によると、フランスの作家ジョルジュ・ペレックの「消失」なる小説には、eの字がひとつも含まれていないそうです。しかも、その英訳も、同様にeの字が使われていないという……。ほう。すごいなあ。と、すなおに感心してもいいのだけれど、うーむ、実のところ、そのすごさにいまいちしっくりきていなかったりもします。いや、もちろん、技術としてそういう小説や翻訳の存在が「すごい」ということはわかるのだけれど、ふだん、フランス語や英語におけるeの頻出回数に気を留めていない人間にとっては、やっぱり、そのわかりぐあいもいささか浅いものではないかなあと感じてしまう。日本でも、ややコンセプトは異なるけれど、筒井康隆が「残像に口紅を」で、文字が一字ずつ消えていってしまう世界を表出させていましたね。Amazonのレビューによると、「幽遊白書」でも、同様に、文字がひとつずつ消えていく世界が表出されているらしい。んー。ぼくは、この作品を読んでいないのだけれど、ドラえもんでいうと、「どくさいスイッチ」、もしくは「ありがたみわかり機」の文字バージョンみたいな感じなのかな?(「残像に口紅を」でも、一回、「どくさいスイッチ」のような場面がありましたね。)