「暗号解読」(上)

 文庫新刊コーナーで立ち読み。アラン・チューリングのことが書かれているらしいので、購入。途中、あれ? これどこかで読んだことあるな、と思ってたら、あーなるほど、海野弘「二十世紀」の参考文献リストに載っていました。そもそも、チューリングのことも、海野弘の本で興味を持ったという面なきにしもあらず、なのです。どちらかといえば、その才、にではなく、その才を抱えたが故の悲劇、の方になのだけれど。なので、これまでは、チューリングのすごさそのものに、いまいち体感としてピンと来ていないところがありました。人工知能の父? ふうん、てな感じで。が、この本では、その対処すべき「エニグマ」のややこしさが、これでもか、といわんばかりに描写されていたので、門外漢に人間にも「はあー、やはり偉大な人だったのだねえ……」と感嘆させるに至った次第であります。まんまとサイモン・シンの技にはまったね。さすがテレビ畑の人。素人を取り込むのに手慣れてる。敵役にナチスを配したのもうまいや。って、いや、実際に敵だったのだけれど。