黙って帰っちゃ駄目だよ(たぶん)

 小学校一年の時、永津さん(仮)という女の子の誕生日パーティーに呼ばれて行ったのだけれど、どういう事情があったのかは忘れたが、このガキは、誰にも何も告げずに、家に帰ってしまったのでした。母親、ねちねちと、怒る怒る。怒られて、ぼくは、実のところ母親がどうして怒っているのか、よく理解できませんでした。ただ、罪悪感だけが、ほんのり心に差し込まれたという感じで。要するに、相手の立場に立ってものを考えるという、そういうところまで頭が回らなかったのだろうか? もし逆の立場だったら、そりゃ嫌な気分になるよなー。「つまらなかったのかしらん?」とか気にして。(実情には、まあ、目を瞑ってもらって。)
 こういうことは、今でも覚えてる。覚えてて、それが実地で生かされているのかというと、うむむ……いささか、びみょうな状態だといわざるをえないというか……。性格って、治らないのね。三つ子の魂とでもいうのか。あーごめん。とここで謝ってもしょうがないのだけれど、今日も、某所から、誰にも何も告げずに、抜け出してしまったのでした……。わるいことしたなー。ほんと、ごめん。と、いうことを、気にする人と気にしない人がいて、ぼくは、思い切り、前者なのであった。じゃあ、抜け出さなきゃいいじゃん、てことにもなるのだろうけれど、逆に、だからこそ、抜け出さざるを得ない心理状態にも陥りがちになってしまうのだね。たぶん。まあ、君子(じゃないけど)危うきに近寄らずの精神でこれからは切り抜けていこうと思う。虎穴? いや、やはり、石橋はまず最初に叩かないと……。