ユリイカ:特集「石井桃子」

 ほう。あの、名作名高き「幻の朱い実」が米寿間近の作だったとは。と、現在「クマのプーさん」「プー横町にたった家」しか本棚にない人間にとっては――「ドリトル先生」も「ピーターラビット」も「ノンちゃん雲に乗る」も読んだことがないのです――いろいろと感心するのにこと欠かない一冊でした。ひらがな表記の「いしいももこ」は、あのマンガ家のネーミングに影響を与えてたのかなー、とかね。んでもって、例によって、伊藤比呂美川上弘美が寄せるアンケートの文面には、さすがだなーと感服もしていたのでした。雨宮まきの〈あの(私の大好きな)金井美恵子さんがめずらしく手放しでほめている人。という印象。〉てな文章も、なかなかに、いいや。