海野弘「二十世紀」読了

 うん、やっぱり読みやすかったですね。海野弘版「二十世紀」。それはもちろん、つい先頃、橋本治版の「二十世紀」を読み終えていたからに他ならないのだろうけれど、それだけではなく、十年ごとに区切るディケイド法式というのが、実のところ、自分の考えに深く馴染んでいたからかもしれません。特に、六十年代と、七十年代は、それぞれ、ひとまとめのものとして(そうはっきりとは意識せずとも)とらえられているからなあ……。常日頃から。まああくまで雰囲気としてなのですが。「これって六十年代っぽいよね?」の「ぽい」というところが、要であるとでもいうか。つまり、そうした雰囲気を、共有しやすかったということです。
 ああ、あと、写真の恩恵にはずいぶんと被らせていただきました。(「させていただく」……。)百聞は一見にしかず。ですか? イメージが、つかみやすいといえばつかみやすいですからね。ちょっとでも写真があると。いっそのこと、まるで写真を使わないという橋本治版のいさぎよさも気に入ってはいるのですが。――というか、そもそも、比べるなよって話でもありますね。いくら同じ書名だからといって。
 日本史にはまったく踏み込んでいない海野弘版の「二十世紀」で、個人的にいちばん「へーっ」と感心したところ。1922年の、ツタンカーメン王墓発掘が、アール・デコのスタイルに影響を与えたんだそうです。その〈直線的なライン〉で。――あ、これ有名なはなし? でも、こうした、「風が吹けば桶屋が儲かる」とでもいうか、自分の中では、まったく結び付いていなかった対象同士が結び付く瞬間というのには、何か、こう、人生を送る上での妙味を感じさせるものがあります。