岩波新書『快適睡眠のすすめ』読了

 16日放送の「クローズアップ現代」はおもしろかったですね。タイトル「今夜も眠れない 〜広がる女性の睡眠不安〜」。って、また気軽におもしろいって言葉はつかわない方がいいのだろうけれど、実際に番組を見ながら、へぇー、へぇーと感心しっぱなしだったのは確かなんです。つまりは、単に眠れないこと、ではなく、眠れない、ということから派生される(と思われる)様々な症状に恐怖を抱く、という心情には、けっこう共鳴しないところがなくもなかったので。やる気が湧かない、ということだけでなく、肌荒れの件とかね。いやっすよねー、肌荒れは。
 そこで手に取ったのがこの本。て、いうか、著者の堀忠雄氏、番組内にちょこっと顔を出してらしたので、おお、そうだそうだ、昔この人の本を電車の中で読んだことがあったんだ、と思い出して本棚の奥から引っ張り出してきたというのが真相なのですが。2000年7月刊。目次には「眠りのメカニズム」「眠りには個人差がある」「サバイバル睡眠法」「昼寝の効用」など、なかなかに魅力的な文面が並んでます。んんー、興味ある人は手に取ってみてもぜんぜん損はないと思うので詳細はざっくり省くとして——例えば、目覚まし時計を使わずに目を覚ます能力の極限について扱った実験にしても、それはそれでたいへん興味深くて、実生活でも「よし、試してみよう!」という気にはなるものの、それでもやっぱり、「メカニズムはまだほとんどわかっていない」なる文章にぶつかると、がっかりする、ということはまるでなくて、「へー、人間ってすごいもんなんだなあ」と呑気に感心できる、この、主語に「人間」とつくところが、格差だの競争だの、そうしたぎすぎすした世界からは遠く離れていて呑気でいいし、新書ながらも、そして、実験データはかなりに駆使されていながらも、ぜんたいにとぼけた随筆のような味があって、笑いながら読み進められました——ということは記しておきます。この本の教えに倣い、20分間の「新シエスタ」を取った後で。
※蛇足ですが、この本では思い切り「入眠」という語がつかわれていますね。何だ、オーソリティーがつかっているなら、俺がつかってもいいじゃん。というわけで、たとえ辞書に載ってなくても、これからはばんばんつかっていこうと思った次第であります。(→