『仏果を得ず』読了

 なるほど。これが三浦しをんの世界か。という初心者的な感想というよりむしろ「おお、何かに精進している青春(つーても30代)というのは触れる者をも爽やかな心持ちにさせるねえ」というこの書に対する純粋な感想が湧き起こるくらいなのだからやっぱり三浦氏は相当の力量の持ち主なのだろうなあ……。おもしろかったっす。手に汗びっしょりかいたよ。年末読むのにぴったりな本。なにせ最後が正月の描写だし。(あ、これは勇み足?)いいねえ文楽。なにせ今まで昔読んだマンガの中でくらいしか知らなかったから。『火の鳥 羽衣編』ってそうだよね? 『うる星やつら』の面堂了子とか。あああと谷崎の『蓼喰う虫』? 来年はぜひとも実際の文楽の空気に触れてみたいな――という気には、常套だけれど、やっぱり、なりますねえ。