結城秀雄「ジョイスを読む」を読む

 ふーん。そっかあ。ジェイムス・ジョイスの「ユリシーズ」が刊行された際、ヘミングウェイはパンツの下に本を隠し、アメリカに「密輸」したんだ。なんだか勝新みたいだな。パンツの下、というのは密輸の常套手段であるのかな。それからそれから、口を極めて「ユリシーズ」の出来を罵ったヴァージニア・ウルフは、ジョイスの死の二ヶ月後に自殺したとか。ふふー。二ヶ月か。関連がないといったら、やはり嘘になるだろう。そしてなにより、20世紀の巨人たちがこうしてつながりを持ってたという事実に、やはり興奮させられる。「ユリシーズ」予約購買者の中にはウィンストン・チャーチルもいたとか。うわー。59部しか存在しない「ユリシーズ」の初版本、現在1000万円近くの値が付いてるとか。ス、スケールが。ランダム・ハウス社が選ぶ20世紀の英語小説として、堂々1位に輝くこの小説を、私はまだ読んでないのだけれど、さて、どうしよう。主人公レオポルド・ブルームがダブリンの街を彷徨ったのは、ちょうど今から100年前の1904年6月16日。ふむ。これも何かの縁かなあ、と自分を焚き付けて、ちょっと手を伸ばすだけ伸ばしてみよかな。(という感じで、手を伸ばすひとがたくさん出るんだろうな、世界中で。)ちなみに、「ユリシーズ」が読むに値しないなら、人生も生きるに値しない、とジョイスは伯母に言ったそうです。かっこいいね。