ぐわしのデフレ

 本屋に行き、ちょっと驚く。「ユリイカ」の特集が楳図かずおになってる。つい先日も河出書房新社から楳図かずおのムック本が出ていた。何があったのだろう。近々新作の発表でもあるのか。そういえば今日の「笑っていいとも!」にも楳図かずおは出演。(一応ビデオに撮ったけど、重要な情報は無かった。)こう重なるとついつい深読みもしてしまうというもの。まあ“深い事情”があったのかはともかく、少なくとも“なにか”はあったのだろうな。ちなみに「ユリイカ」も河出のムック本も買ってません。楳図かずおという題材には激しく惹かれるものの、斬新な切り口で扱ってるという印象はなかったので。誰かの的確な褒め言葉に出会えば財布のひもも緩むかもしれない。
 ところで昨年は、やはり同じく川上弘美特集を「河出→ユリイカ」の順で行っていた。確か「光ってみえるもの、あれは」が出版された時期と重なっていたのだっけ。その河出の雑誌に綿矢りさは「蹴りたい背中」を発表。そんな感じで河出もけっこう検討していたのですが、うーん、執筆者、および装丁からすると、この勝負「ユリイカ」に軍配があがるな。別に勝ち負けを争ってたわけじゃないんだろうけど。何と言うか、「ユリイカ」の貫禄勝ち。穂村弘堀江敏幸との対談があるだけで一歩リード。河出では斎藤美奈子柴田元幸が川上作品を分析するなんておいしいコーナーもあるけど、どうしても、書いてるひとの量じゃ「ユリイカ」にかなわない。とかいいつつ、今読み返して、うーむ、やはりどっちもおもしろいか。河出には川上弘美の俳句も載ってるし。<春の夜人体模型が歩きさう>なんてな。
 と、このような興奮を楳図かずお特集で味わえるようなら、もう河出も「ユリイカ」もどっちも買います。やはりしばらく様子見かな。(「楳図かずおの特集なんて一定間隔で行われてるよ。騙されんなよ」てな声も心の中でするけど、いやあ、今回のはちょっと毛色が違うような。)
 ところで、「ユリイカ」の表紙っていつのまにか宇野亜喜良のイラストじゃなくなってたんだね。今回は(たしか)楳図かずおの写真そのまんま使ってて、どうしたんだろう、宇野亜喜良楳図かずおに遠慮したのかな、なんて思ったり。