背中ごわごわ

 妹がアフリカに去った。向こうの生まれ、とか、結婚、とかではなく純粋に仕事の為。2年間だ。長いなあ。朝、ぱちぱちと携帯で家族と犬を撮っている。さて、私の番。となった時にとっさに拒否した。「いいよ俺は。」(なんかそういうの恥ずかしいのだ。)「あ、そう」とあっさり了承して、「じゃ、元気でねー」と彼女はとっとこ家を後にしたのだった。
 夜、脱いだズボンを掛けようとハンガーを探すが見当たらない。聞くと、妹が大量のハンガーをアフリカに持っていったとのこと。「なんで? 寄付するの?」「じゃなくて自分で使うんだって。」母親が答える。仕方なく椅子の背もたれに掛けたズボンの感触を感じながら今はこの文章を打っているという次第。