我ら畳派

ストレスがたまっていたのかな? 幼い頃、父親が「畳を買ってきて部屋に置こう」などと言い出したことがあります。
ちなみに、うちはマンション住まい。和室なんてものはありません。だから、「またこのおっちゃんは何て突拍子もないことを言い出すのだろう……」と誰にもまともに相手にされませんでした。
が、数年後、今度は自分より8歳ほど若い同僚の口から、「畳を買って、部屋に置いて和んでます」なる発言を聞いて――ははあ、この「部屋に畳を置く」という発想は、決して一中年の妄想に留まらない、日本人のDNAに組み込まれている郷愁と密接に関わっているのかなと、しばし思いにふけった次第であります。
先日、湯島の旧岩崎邸(→)に遊びに行きました。その際、豪華な洋館スペースより、むしろ和室の空間――もっとはっきり言うと、ひさびさに触れた畳の感触に、体の細胞ひとつひとつが喜んでいるのを感じられました。何やかんや言って、自分も、彼ら畳派の内にしっかり組み込まれつつあるのかもしれません。