博士の異常な愛情」。ぼくは、ベタだけど、最初このタイトルを聞いたとき、てっきり閨房のことを扱った映画なのかと思ったよ。原題は「Dr.Strangelove」で、けっして正しい訳ではないのだけれど、でも、悪いタイトルではないよねえ。中にはきちんと博士の異常な愛情が出て来るわけだし。全編その愛情に貫かれていると言っても過言ではないのだし。邦題では、「いじょう」「あいじょう」と思い切り脚韻を踏んでて、何やら「いじょう」「あいじょう」なる語のそもそもの意味的関連にも思いを馳せてしまいそうになるよ。似てる、ってだけじゃ解決しないような。愛情に、包みこまれている異常。五七五。言い得て妙だね。でもないか。
 ここで思い出されるのが、小川洋子の「博士の愛した数式」で、もちろん彼女はこの「博士の異常な愛情」というタイトルが頭になかったわけはないと思うけれど、こちらは、愛したの「し」と数式の「し」が韻を踏んでいる。あ、こういうのは韻を踏むとは言わないのかな? ちょっとそこらへんの自信はない。ただ、昔、売れてるお笑いタレントには必ず「し」の字が付いている(例・ビートたけし明石家さんま森田一義志村けん松本人志浜田雅功)というので、自分が芸名を付ける時にも「し」の字を付けたとかいうあるタレントのことを思い出したんだよ。誰だっけ? ちょっと忘れた……。別に「博士の愛した数式」は、「博士の異常な愛情」と違い、笑いを目的に書かれた作品ではないのだけれどね。