9番

 そうそう。見たよとうとう。「太陽を盗んだ男」。おもしろかったねー。皇居付近でバスジャックする爺さんのエピソードからもう目は釘つけ状態。沢田研二は色っぽいし。ぼくの中学の時の数学の先生は、自分でもネタにするほどかなり熱烈なジュリーファンだったんだけど、今になり、ちょっと彼女にシンパシーを感じたりしたよ。遅いか。
 当時、核保有国が8つだったので、主人公の自称コードは「9番」。原爆を作って、野球中継を伸ばせだのローリング・ストーンズを呼べだのやりたい放題(といっても、本心からやりたいことではなかったんだろうけど)の「9番」。時期的に、ついつい某集団を連想しがちになる――ということはつまり、この映画、政治色とは関係なく、存分に普遍性を含んでるってことなんだろうね。
 個人的には、70年代後期の渋谷東急内部とか武道館界隈の映像が見られたのが興味ぶかかったなー。あと、当時の人びとの髪型、服装とか。想像していたほど、「もっさい」って感じはしなかったね。かといって、「なつかしい」って感じもしなかった。じゃあどういう感じだったのかというと……なんだろう、ほんと、違和感を感じなかったんだよ。少しも。平気で、ひっかかることなくのめり込んでたなー。自分の中に、常にフィクショナルな70年・80年代が存在してるってことなのかな?