多和田葉子の新刊3作

 Amazonによると、多和田葉子の新刊「海に落とした名前」が11月下旬に出るらしいよ。おっと。小説の新刊は、2004年の「旅をする裸の眼」以来? ときに、彼女のホームページを見てみると、同じく今年の秋に、「ユリイカ」連載「アメリカ 非道の大陸」と「現代詩手帖」連載「傘の死体とわたしの妻」が刊行されると書いてある。
 ん? とすると、この秋に多和田葉子の新刊が同時に3冊、出ることになるのかな?(ホームページには、「海に落とした名前」のことは書かれてなかったけどね。)

 僕は、男と女のどちらが好きかと聞かれたら、女の方がずっと好きだよ。勝江さんがみんなに反対されても自分の意見を曲げないで淡々と述べている時なんか、とても凛々しいと思う。そういう場面で男なら必ず臭ってくる英雄的自己陶酔がないから。それから、勝江さんが女友達を集めて、みんなで美味しいおかずを何種類も作って食べながらおしゃべりをしている時なんかね、いろいろな香りや声が混ざりあって、音楽みたいで、その場にいっしょにいるだけで身体が溶けていってしまいそうになる。僕は、女の人が本当に好きなんだよ。

「光とゼラチンのライプチッヒ」所収「ころびねこ」より。ときどき、ぱっとページをめくって彼女の文章に触れると、妙にこう今の心境にフィットすることがあるんだな。