「エスケイプ/アブセント」読了

 絲山秋子著。ほーう。多和田葉子の「時差」に続きここでも男性同性愛者が主人公になってるよ。連続で来るとわりと驚く。はやりか? 属性は異なれど(こちらは「元過激派」、むこうは「大学教員」)、性軌範においてはどちらも奔放という点で一致している。ただし、こちらの方が、その恋愛において、というか、人生全般において、投げている率がいちじるしい。でもないか。なんというか。むつかしいな。他の人にべったりとせず、その上で、基本的な信頼は決して手放していない感覚をあらわすというのは。まあそれがかんたんに言えるようならこうした小説が世に出てないわけで。

 フレッド・マーとの「ベーシック」だけは、えーっあはははーって感じだったけど、あれはまああれとして。ほんと、おっさんなのにかっこいいもんなあ。黒のスーツにボタンダウン、サングラスでいつだってくわえタバコ、そしてはげ頭。

 いるよね。こういう内面のひと。ちなみに主人公は40歳。何か妙にリアルだ。(明日つづきを書くかも。)