『フェルデンクライス身体訓練法』読了

 きっかけは鴻上尚史氏の『あなたの魅力を演出するちょっとしたヒント』。名著です、と太鼓判を押されていたので、書店で実物を確認し、購入。1982年刊。読み終えて、レッスン8「自己イメージの完成」をさっそく試してみました。なぜなら、その項で、以下のような文面にでくわしたから。

 体操の方法論のすべては、動作の反復にもとづいている。いや、体操だけではない。われわれが学ぶあらゆるものは、反復し記憶にとどめるという原理にもとづいている場合がほとんどである。このことは、楽器の演奏が日ごとに上達する人がいるかと思えば、毎日毎日練習を積んでも全然うまくならないひとがいるのはなぜか、を説明してくれるであろう。この成果のちがいを説明するとされている才能の質なるものは、おそらく、第一の生徒が、演奏しながら自分のやっていることによく注意を払っているのに、第二の生徒は、ただ反復して覚えようとするばかりで、悪い練習でもたっぷりくりかえせばいくらか音楽的完成をもたらしてくれるだろうという仮定にのぞみをたくしているにすぎない、という事実から生まれるのだ。

 ああ、第二の生徒……。それはわたし……。
 で、まあ、写真を見ながら、部屋の中でころころ転げまわり、右脚のかかとを頭のうえにつけたりしていたわけなのですが――んんんんん。すいませんねえ。正直なところをいうと、いささか、時間を、食われすぎるかな、と。真面目にすべてをおこなえば、第一の生徒へとくらがえできるのかもしれない。つまりは、才能の質より、ここでは、根性の質を、うんぬんすべきか……なんて定型を書くのは、精神論へと逆もどりで、それこそ著者のフェルデンクライス氏に申し開きができないので控えますが。原題は『AWARENESS THROUGH MOVEMENT』で、こっちの方が邦題よりその含んでいるところを伝えている気がします。へぇ、と、この「THROUGH」に興味を抱かれた方は、手にとってみても損はないかと思います。ぼくもまた、前半の理論篇は、これからちびちびと読み返していくつもり。