「おふくろさん」他

 そういや、この前、生まれてはじめて、森進一の歌を聞いたのです。「おふくろさん」とか「襟裳岬」とか。有名? って、まさに文字通り、タイトルしか知らなかったからなあ。ええ、たいへんに、おどろきましたよ。度肝を抜かれた。
 というような体験をしている、ここ日本列島で生を送っている人って、一体どれくらいいるのかしら? 金井美恵子氏が、最近になってはじめて赤塚不二夫氏のマンガを読んだという丸谷才一氏について、「うらやましいことであるのかもしれない」と書いていたけれど(ちなみのぼくも「バカボン」以外は読んだことがない)、そうした、「へぇ、今度それにはじめて触れるの? いいなあ」と思える物件って、じつのところ、まだまだたくさん埋もれてるんですかね。
 森進一のことを、橋本治氏なんて「日本最高の歌手」って絶賛してたもんなあ。<多くの日本人は、森進一に歌を歌ってもらって、それを聞くことによって、「ああ、人の心というものはこういうものだったのか」ということを知る必要があった>(『さらに、ああでもなくこうでもなく』)とかね。
 ついでに、つったらなんだけど、氷川きよしのCDも、今回はじめて聞きました。今朝の目覚ましミュージックは、氏歌うところの「僕は泣いちっち」。ブックレットでも、セクシーショットが掲載されていたりと、たいへん味のある世界が展開されていて、なかなかのものです。