二人称

 多和田葉子の「容疑者の夜行列車」*1。2002年の本です。谷崎賞を取ったんだよね。うーむ、主人公の性別が、最後の最後になるまで、はっきりとわからない状態。それでも、全然差し支えなく読めるってとこに、実は一番感心した。すごい仕組みの小説だなあって。主語が、ほとんど、「ぼく」や「わたし」ではなく、「あなた」で占められるのだ。さて、これを読んだのは、今手元にある「群像」2月号掲載「旅をする裸の眼」を理解したかったからなんだけど、これとはまた違う種類の小説でしたね・・・。ところで、「群像」3月号で、加藤典洋多和田葉子ビョーク*2の容姿に触れてますが、そうだよね、似てるよねこのふたり。まあやってることも(傾向として)なんとなく似てるような気がしないでもない。

*1:ISBN:4791759737

*2:「旅をする裸の眼」、最終章が「Dancer in The Dark」。そう、ビョークの主演する映画っす。で、この小説でも「セルマ」ってビョークが演じた女性が出てくるんだけど、これをビョークと同一視していいかは、また意見が分かれるんだろうなあ。