本
ナンシー関に彫られたときの話が出てくる。彫られてから、けっこうあとになって知ったとのこと。ふーん、そういうのってまわりのひとが教えてあげないんだなあ。かなり、辛辣なことを書かれていたと記憶する。けれども、あまり気にした様子もなく、 それでも…
詩なんて私のいる世界とは絶対縁がないと思い込んでいたから、この本のおもしろさに満足しつつも、いや、このおもしろがり方ってけっこう本筋から激しくずれてんじゃない? と訝ったり。目次をぱらっとめくると「天才バカボン」に始まり「ゲゲゲの鬼太郎」「…
マリナーズイチローとラーメンズ小林をライバル視している身にとって(嘘だが)なかなか刺激に富んだ2冊だった。1冊は今年の4月に出た「キャッチボール ICHIRO meets you」*1、糸井重里との対談。もう1冊は昨年の7月に出た「イチロー 北野武 キャッチボ…
水木しげる「水木サンの幸福論」*1読了。まあ題名がアレなのだけれど、中身はかなりの充実ぶり。日経に連載されてた「私の履歴書」がメインとなってる。笑った笑った。つーか、おおいに勇気づけられました。こういうひとって、ほんと表に出にくいんだろうな…
橋本さんは、やさしいな〜。「考える人」連載分に、一章新たに付け加えられてる。おお、ボーナストラック。ってこのくらいのことプロならふつうか。しかし、その向日性がね。やっぱいいなあ。誤読なのかもしれないけど、連載時は、「あれ、昔の元気はどこに…
この小説を読んでると、いかに自分がひとつの視点の小説に慣れ親しんでいたかがわかる。ぜんぜん、視点がばらばらなんだもんなー。主人公の心のつぶやきのすぐ後に、育ての親が考えている事が書かれていたりするから、正直ちょっと読むのに手間どった。こう…
福田和也の先月出た本(題は伏せる)を読んで、うーん、私も百科事典くらいインストールしようかなとちらと思った。ちらとです。実行するかは未定。と同時に、「偏見を偏見として意識しているならいくらでも偏見など持っていても構わない」発言には、どうす…
前評判のあまりに高すぎる本に手を出すのはやっぱりちょっと気後れするところがあるのだけれど、この本はどうやら読んでおいた方がいいとの判断を下し先日読了。なるほどなー、受けるわけだよなあ。8時間しか記憶の続かない数学者との1年に満たない交流を描…
この本の著者を「我々と変わらないごく普通の若者(ただイラクに住んでるだけ)」なんて言説によくお目にかかったものだが、いや、けっこうこのひと、ちがうよ。少なくとも、ぼくとはちがった。なんて書くとまた変な誤解を与えそうだが、で、はなしの筋とし…
橋本治の新作「上司は思いつきでものを言う」(集英社新書)。はは、うまいこと言うなあ。昨日僕が言いたかったことって正にこれなんだが。たぶん読むだろう。と、その隣には生活人新書の「パラサイト社員の活用術」なる本が。・・・たぶん読まない。
英訳記念、ということで初読み。高橋源一郎の輝かしきデビュー作。もっと難解な話かと思ってたのに、意外にオーソドックスでしたね。空白が多くて、すぐに読める。まるでマンガだ。ひりひりするような哀しさに溢れて、ああ、これがうわさの「リリシズム」っ…
「ホワイト・ティース」で世界中の度肝を抜いた(でも日本では全然騒がれなかった)ゼイディー・スミスの長編2作目。綿矢さんもこのくらいスケールの大きな作家になって欲しい。って“若い女性”ってことでひとくくりにするのも何だけど。原題「オートグラフ…
この本自体がどうこうとか、もうそういうレベルには養老先生いないのかもなあ。なんだか最近の本はどれも「養老節」、これに尽きて、内容は・・・たしかに詰まっているんだけれど、それをいまさら吟味しても、って気になります。全共闘へのいちゃもんが、や…
オウムシスターズの長女と結婚した経歴を持つ苫米地先生が、自身の洗脳術を詳らかにしながら、現在も、われわれを襲い来る様々な洗脳の魔の手から身を守る術を伝授する。へへー。なかなかイラストが危なくてウケる。ある種、トンデモ本なのかなあ。僕の中の…
ふう。完璧に打ちのめされた。世界にはまだまだ凄い作家がいるんだなあ。デズデモーナ(主人公の祖母)がないがしろにされないでよかった。解説で柴田元幸が褒めまくり。そりゃ、褒めるよね。この後出る書評に注目だな。
これを読んでまず感心したのが田中麗奈の演技力。ふつうの台詞が、彼女を通して表現されるとものすごくキュートになるという不思議。女優ってやはりものを作る仕事なんだなあと再認識した。と書くと、この小説に魅力がないかと思われるかも知れないけれどそ…
あまりこの題名に合った話はないような。隅から隅まできっちりと読んでないのだけれど。柴田元幸が、ここでも「トーン」の話をしている。日本では小説の「トーン」(声)についてあまり語られることがない云々。昔ならいざ知らず、現在ではどうなんだろう。…
ふう。この前の「サザエさんうちあげ話」でも思ったのだが、人というのは、50を越えても惑い続けるものなんだなあ。「69年度卒業生」という同窓会での逸話を挟み、そこに出席している人々の物語を綴る。脚をなくした人、癌に罹っている人、心臓に故障を抱え…
作中、いろいろな固有名詞の嵐が起こり、それが嬉しかったりするのは、“背伸びしよう”という心意気に同調しているから? というより、ここで挙げられている固有名詞は、なんだか懐かしさでいっぱいなのだ。ページをめくって、出てくる出てくる、ガロCOM寺山…
ああ、なんという題名。編集者がつけたのだろうか? まあ、内容はおもしろかった。そこに書かれている意見に賛成するかはともかく。ちなみに僕はこの人を「詩人」「思想家」「ばななパパ」ではなく「海で溺れかかった一老人」という視点で捉えている。自身の…
現場は、実にたいへんなことになってるんだなあという印象。要するに、「就職を忌避する若者」について大半のページが割かれてるのだが、「若者の気持ちもわかる、就職をさせたい人の気持ちもわかる、ついでに、若者の親の気持ちもわかる」という感じで、そ…
日々の生活におもしろさを求めようとすれば、そこはやはり(批判はあろうとも)本や映画に頼らざるを得ない節がある。まさか年がら年中旅行に出られるような身分でもないのだし。だから、いきおい、雑誌やネットで繰り広げられる「これ、おもしろいよ」とい…
小説をストーリーやテーマではなく、そこに出てくる「商品」に眼目を当ててる評論集。と、試みとしてはパッと見面白そうなんだけれど、個人的には取り上げられている小説に縁がないものが多く、あまり深く入り込めず。渡辺淳一「失楽園」か。読んでないから…
各章のタイトルを「考えるヒント」から拝借したという、全編これ小林秀雄に捧げるオマージュ。間断なき思考の連打に、読者はただ酩酊するより他にない。単なる時事を扱った雑文より、このような「創作活動」にこそ本領を発揮しますね、池田さんは。文章の筋…
買ってしまった。「噂の眞相一行情報大全集」。1090円。安い。本屋で立ち読みして、電撃に打たれた。これは買わねばと。いやそんなものすごい高尚な本とかそういうんじゃないです。むしろその逆。下世話の極致。でも、ないか。例えば、 竹下景子と桑田佳祐が…
著者はガイドと批評は別物だという。ガイドとは、あくまで商品情報、対する批評とは、 一本の映画のなかに深く入り込み、丁寧に味わい、その作品を理解することである。感動した映画の、その感動の源を掘り下げることである。 このことば通り、全編、優れた…
かつてセックスのことを話すことがタブーであったのとまったく同じように、現題にも一つのタブーのテーマがある。それは、人生にほんのわずかな意味でもあるかのように、人生について語ることである。 これ、下手すると「ダサイ」と思われる恐れがあるからね…
オチがないSFってのは、すごくキュートだね。
ああ、惜しい。書いてる題材は逸品そのものなのに、そのやり口が。こういう話って語り部は裏方に徹したほうが正解だと思うよ。もっとフラットに。そして手広く。って題名と表紙に期待し過ぎたか。
表題作、35歳画家志望の女性をめぐるあれこれ。まあちょっとズレた人々の生態を描いている。インポでハンサムな政治家とか、一家言あるインテリの痴漢とか。中でも、いとこの“祥ちゃん”に関するオチは、かなりキてました。今の時代なら、実際にあり得るかも…