絲山秋子「イッツ・オンリー・トーク」*3

表題作、35歳画家志望の女性をめぐるあれこれ。まあちょっとズレた人々の生態を描いている。インポでハンサムな政治家とか、一家言あるインテリの痴漢とか。中でも、いとこの“祥ちゃん”に関するオチは、かなりキてました。今の時代なら、実際にあり得るかも。最後の一文はみんな褒めているようですね。ぼくも、心の中で「うまいっ」と叫んでしまいました。併録「第七障害」、スタンダードな恋愛もの。まるで山田太一のドラマのような。表題作とはひと味もふた味も違う。向こうが病的なら、こっちはあくまで健全。ハンサムな警官が振られ、ずんぐりむっくりで年下の彼氏と結ばれるという。どういう人なんだ、この絲山秋子って人は。大道珠貴と比べると、完璧に悪意はないなあ。なるべくなら、(まあ「第七障害」もよかったけど)「イッツ・オンリー・トーク」臭を失わず、これからも突っ走って欲しいっす。
http://www.geocities.co.jp/Bookend-Akiko/9882/
↑これ、著者のホームページ。なかなか味のある絵が見られます。