波風立たず

 水木しげる「水木サンの幸福論」*1読了。まあ題名がアレなのだけれど、中身はかなりの充実ぶり。日経に連載されてた「私の履歴書」がメインとなってる。笑った笑った。つーか、おおいに勇気づけられました。こういうひとって、ほんと表に出にくいんだろうなあ。(関係ないけど水木しげるの本名って「武良茂」っていうんだね。てっきり「東某」かと思ってました。)・・・と、いろいろ言いたいことはあるのだが、今回は水木しげるの「手塚治虫に対するポジション」に焦点を当てます。
 複雑、なんだろうなあ、水木しげる手塚治虫に対する思いって。昨年の「手塚治虫文化賞」特別賞を受賞したことを軸にそうしたことを述べてます。あ、このことについてはすなおに喜びの声を上げてらっしゃってますが。ちなみに水木さん、手塚治虫より六つ年上。最初に手塚治虫のマンガを読んだ感想として、以下の様に書いている。<アメリカのディズニー漫画の日本支店だな>。う、わーい。よく日経載せたなあ。朝日じゃ即刻削除だろう。水木先生、手塚治虫をモデルにマンガを描いたこともあるそうな。その名も「一番病」。一番になることばかりにあくせくしている棺桶職人が主人公、だそうです。トキワ荘の面々にもけっこう辛辣。

 手塚さんが住んでいて、彼を敬愛する若い漫画家たちが集まった東京・椎名町トキワ荘の面々は、それぞれが売れてからも、超多忙を楽しむというか、誇るような気分があった。たまに彼らに会うと、すぐに自分たちがどれほど忙しいかを口角泡を飛ばす勢いでしゃべり出し、徹夜自慢みたいな話に行き着くので、眠りにきわめて弱い私はいつも驚いていた。(P174)

 ・・・てなことを書いてたら、今、NHKから「鉄腕アトム」のテーマソングが。なんというか、乱暴な論だけど、手塚治虫をマンガ家の代表とすることで得をする層が確実に存在するんだろうな、ということは想像に難くないです。いや、想像ですけど。ははは。(参照