ゼイディー・スミス「直筆商の哀しみ」*9

「ホワイト・ティース」で世界中の度肝を抜いた(でも日本では全然騒がれなかった)ゼイディー・スミスの長編2作目。綿矢さんもこのくらいスケールの大きな作家になって欲しい。って“若い女性”ってことでひとくくりにするのも何だけど。原題「オートグラフマン(The Autograph Man)」。オートグラフ、つまり有名人のサインを売ったり買ったりして生計を立ててる青年の話。往年の美人女優のサインを巡ってドタバタ騒ぎが繰り広げられる。さて、感想はというと・・・うーん、「ホワイト・ティース」がすごかったからなあ。あのポップさを期待してたら裏切られるけど、でも、細部の描写は十分頭抜いてる。基本的にこのひと人生を悲観的なものとして捉えてないし。あ、そうだ。作中「マルコヴィッチの穴」に出演してたジョン・キューザックの名前が出てくる。ちょうどあの映画くらいかな、僕の中での評価は。ちょっと変わってて、おもしろいんだけど、心酔するところまで行かないというか。もっと幼なじみの友人たちが活躍してくれたら、とは思いました。