四方田犬彦「ハイスクール1968」*16

 作中、いろいろな固有名詞の嵐が起こり、それが嬉しかったりするのは、“背伸びしよう”という心意気に同調しているから? というより、ここで挙げられている固有名詞は、なんだか懐かしさでいっぱいなのだ。ページをめくって、出てくる出てくる、ガロCOM寺山ビートルズ。三島自決も、当然のように登場し、四方田氏はなかなかおもしろい解釈をしている。あの事件が起きてから、日本人は西暦で歴史を捉えるようになったというのだ。<それは天皇の制度に対する、もっとも原理的な侮辱であるように、わたしには思われる。>ふーん。なんにせよ、羨ましいな。激動の時代を生きられて。いざ我が身を振り返ると、高校時代なんて、ほんと「単調」のひとことで片付いちゃうもんなあ。