BSマンガ夜話「自虐の詩」

昨夜ビデオに録ったのを本日鑑賞。期待通り、呉智英が最初から最後まで爆走気味だった。心底から、このマンガが好きだということが言葉の端々から伝わってきた。逆に冷淡だったのが岡田斗司夫で、DVに苦しめられている人はとても面白がることができないと苦言を呈していた。あくまで、番組のバランスを考えてのパフォーマンスだったのだろうけれど。夏目房之介の解説で、あのマンガに描かれている現実と妄想の違いにはじめて気付く。現実に見せかけた妄想、といった「現実と妄想の境目のない」コマがあったのだ。眼から鱗が落ちる思いだった。最後まで4コマという形式にこだわったストイックさが、確実にあの作品の質を高めたという意見に一票。いしかわじゅんの「週刊宝石」論も傾聴に値した。「ページ数だけ決めて、あとは好きにやっていいって言われたんだよね。だからこそ、『自虐の詩』や春菊の『水物語』といった傑作が生まれたんだと思う。活字系の雑誌にも関わらず」。その担当者の名前は結局最後まで明かされなかった。「週刊宝石」の書評欄では高野文子の夫も働いていたらしい。途中、作者業田良家の写真も公開されていた。なかなかの苦みばしった好男子だった。