森美術館へ行ってきた。

 渋谷で用を済ませたあと、時間が余ったので、さて恵比寿に行こうかそれとも六本木かと迷った挙げ句、まあ今日は天気もいいし、展望台からの景色を眺めるのもまた乙かなと思い、恵比寿乗り換えで六本木へ。
 ああ、駅の通路にあった村上隆の絵がいつのまにか撤去されてる。
 六本木ヒルズ森美術館に行くのはこれがはじめてだったのだけれど、けっこう空いてるのに驚き。チケット売り場が大盛況だったのにも拘らず。客のさばき方が上手いんでしょうか。ディズニーランド並の混雑を想像してしまっただけに、ほっとした。
 53階「六本木クロッシング展」。週刊新潮に掲載されてた福田和也の文章を引用してみますね。

日本美術の新しい展望2004と題された『六本木クロッシング』は、六人のキュレーターがそれぞれあげた二十人のアーティストのリストを合議の上しぼりこんだ五十七人の作品が並べられたもので、展観者によるオーディエンス賞を選ぶという趣向をとっています。

 まあ現代日本アーティストによる大展覧会って感じでしょうか。作品、よりも、作品を見ている人たちの様子の方が面白かったって節もなきにしもあらずだったりして。「大丈夫かな、この人たち」って言ってる全然大丈夫じゃなさそうなおっさんとか、口をぱっくり開けて男女のヌード映像の見入ってる坊主頭の青年とか。女の子は皆気合いの入った服装で、いつもそうだな、ぼくが行く展覧会に来てる女性って。かっこいい。同性からどう見られてるのかは知りませんが。ただ、その中、一見ただの非常灯、でもよく見れば、いつものマークがちょこちょこ動いてる「作品」には、つい見入ってしまった。もしかすると、この「作品」を気に入ることにはやぶさかでないよ、という態度は醸し出してたかもしれません。(深澤直人氏の作品か?)それと、大画面で見る会田誠の絵って、ぜんぜんエロくないんだな。 
 地上52階から下界を見下ろす感覚は、ははあ、やっぱり一種の快感ですね。尻の穴がむずむずするような。多くの人が記念撮影してました。それほどのものとは思えなかったけど。でも、一回夜景は見たいっす。
草間彌生展 KUSAMATRIX」。水玉満載の世界。御高齢の男性が「てんとう虫だな」と言ってたのは、えーと、慧眼?

めくるめく、蛍の群に舞う闇の中に魂が泳ぎまわる体感。その美しさ。それがあなたの心を包んでほしい。

 展覧会マップにおさめられた草間彌生の言葉。この「蛍の群舞の中に消滅するあなた。」って作品、いやあ、すごかったな。すごい体験でした。真っ暗闇の中、無数の蛍が乱舞してる。そこを通り抜けてくんだけど、また暗闇の暗さが半端じゃなく、足を一歩進めるのにも難儀するくらい。そして、その蛍の色がね、きれいなんだ。赤青緑紫黄色、ちょっとこの歳になってこんな体験させてもらえるのが申し訳ないと思った。草間彌生展はあまり展示数が多くなくて、そこが残念と言えば残念。でも、やはり、面白い体験でしたね。「子ども時代にこういうものになりたかった」と作者が語る「ハーイ、コンニチワ!」で、会場一面に敷き詰められた干し草に匂いに、思わず涙ぐみそうになった。懐かしくて。
 帰りに青山ブックセンターで「のだめカンタービレ」とか小田扉を立ち読み。ついつい読み込んでしまった・・・。