想像力の差

 広告批評橋本治週刊文春出版差し止めにまつわる文章を寄せている。真打ち登場。少なくとも、私が見た限り、田中真紀子の娘というスタンスに焦点を当てた考察はこれがはじめて。それ以外は、あくまで「政治家の子供」のステレオタイプをなぞったものしかなく、そこはかとない物足りなさを感じていた。例によって、当たっているかどうかはわからない。ただ、そうした想像力の触手をきちんと伸ばしたという事実に一票を投ずる。単なる「脳力」の差なのかもしれないけれど。(思いやりとか、そういうものではなく。)それから、あの事件が起きた時に感じた、「魅力のない歌手」とか、「つまらない作品しか描けない漫画家」とか、その手のひとに対する、「いっぱしのことを言う前に優れた仕事をしろ(でなければ仕事を変えろ)」といった残酷さを、今回の文章を読んで再び思い出した。橋本は、きちんと「おもしろさ」に対する重要性を知っている。