成長は苦手かも

「木更津」でもそうだったけど、互いの領域を侵犯しあわない、そういう友情の方が私は好みです。あと、劇中で成長なんかされたら、けっこう引くかも。「木更津」でアニは成長してる? そうかなあ。あれは、もともとあった資質が引き出されただけ、という風に捉えているのですが。成長というのは、それこそさなぎから蝶になるような、劇的な変化のことで、変化、なんかされたら、ちょっと、いや、かなりさみしいというのがある。ピーターパン症候群なのかな。古いか。文学でなら全然オッケー・・・と言いたいところですが、そうした成長や変化に伴うセンチメンタリズムを、きちんとセンチメンタリズムとして意識している作品でないと、やはりちょっと苦手かも。たかが、一個人の成長なんだし。そういうわけで、「下妻」では、別に桃子もイチコも成長せずに、ああよかった、と胸を撫で下ろしたのでした。成長、ってのは一種のイデオロギーだもんね。そもそも、フィクションに登場するからには、はじめからきちんとした個性を持ってろ、ってのもある。