ナオコーラ登場

 外は気持ちよく晴れていたのに、なんだかあまりに切ないニュースが多くて、やっぱり少し参る。そんな中、本日付けの読売新聞夕刊に載った山崎ナオコーラの記事を見て、申し訳ないなあとは思いつつ、ついつい笑ってしまった。なにせ今回文芸賞をとった小説名が「人のセックスを笑うな」だものな。そして語り手が、美術の専門学校に通っていた<オレ>。うーむ。ナオコーラ、26歳、女性の<オレ>かあ。
 記事には山崎ナオコーラの写真も載っていて、なんと表現すればいいのか、爬虫類系の整った顔で、じっと彼方を見据えている。はっきり言って、ず、ずぶとそうではあります。隣に、新潮新人賞をとった佐藤弘という男の子がまた繊細そうな顔で写っていて、よけいにその(あくまで今回の写真での印象)ずぶとさが際立つという仕組み。
 いや、褒めてるんですよ。多分この人、筆名、タイトル、一人称、ポートレートと、全てどういう効果を生み出すか考えてやっていると思うのです。抜粋された文章を読んでみても、けっして単純な受けを狙っているとは思えないし。

 もし神様がベッドを覗くことがあって、誰かがありきたりな動作で自分たちに酔っているのを見たとしても、きっと真剣にやっていることだろうから、笑わないでやって欲しい。

 その通りだ。じつに、その通りだと思いつつ、今日ぼくは彼女の名前と写真と作品名と、それから一人称に「オレ」を選んでいる事実(まあ主人公は青年なんだろうけれど)に、かなりツボを刺激されたのでした。
[追記]
 高橋源一郎の日記(→)でも、こんな台詞が紹介されている。文芸賞の授賞式、山崎ナオコーラ語って曰く。「私の小説を楽しみにしてください。いま読んでおくと、後で、『あの人は最初から目をつけていた』ということができます」。どうだ。と言わんばかりのみごとな自己プロデュースぶり。さすがだ。芸人(?)魂炸裂だね。