憑依づく

「そう家にばかりいないで、たまには外に出なよ。ほらいい天気だよ。桜だってきれいだし。」と、2005年に藤子・F・不二雄が生きていたら、こんな台詞をドラえもんに吐かせていたかもしれない。ところがのび太は、たぶん8割の確立で、花粉症デビューを小学4年生にして果たしているから、「冗談じゃないよ、この目見ろよ、とても外になんて出て行かれる状態じゃないよ」なんて具合にドラえもんに反発するのだ。マスク姿で。そこでドラえもんは、うーんとしばし悩んだ挙句、ひみつ道具を四次元ポケットから取り出すわけなのだけれど、ああ、ここが藤子・F・不二雄と僕の大きな差なんだな。全然、どんな道具をドラえもんに出させればいいのか見当がつかない。キャンディー系かな。それとも空気洗浄器機?「ドラえもん」なんて、フォーマットがしっかりしているから、それこそ藤子・F・不二雄でなくてもかんたんにあたらしい物語を創出できるなんて言説にしばしお目にかかるけれど、いやあ、もし藤子・F・不二雄だったら、少なくとも僕よりかは面白い物語を創出できることは必至だと今回改めて思った次第。(ところで、もし手塚治虫が生きていれば、今回のローマ法王ヨハネ・パウロ2世ネタを「ブラック・ジャック」あたりに応用していたかも、となんとなく想像するのだけれど、うむむ、それこそ僕の手には余る大仕事だ。)